相続した空き家の庭木が越境したときの3つの対処法

空き家

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「相続した実家が遠方にあり、しばらく行けないうちに、庭木や雑草が伸びて隣の家へはみ出してしまった」。そんなとき、近所の方から「枝が越境している」「落ち葉や虫で困っている」と苦情が届くと、気持ちが一気に重くなります。責められたように感じて、どう対応すればいいのか分からず固まってしまう方も少なくありません。

私はかつて土地の取引や所有者の方とのやり取りに関わる中で、管理や判断を後回しにすると、土地や建物の扱いがだんだん難しくなると感じる場面がありました。専門家ではありませんが、その経験から言えるのは、庭木の越境は、順番に確認して対応すれば、こじれる前に整理できる可能性がある、ということです。この記事では、放置したときのリスクと、苦情を受けたときの3つの対処法を整理します。

空き家の庭木・雑草を放置すると何が起きるのか

まず、「遠方だから」「たかが庭木だから」と後回しにすると、思わぬ形で返ってくることがあります。

一つは、管理責任の問題です。自治体の案内でも、空き家の管理を怠り、庭木の越境や落ち葉、倒木などで隣家や通行人に被害が出た場合、所有者や管理者が損害賠償などの責任を問われることがあるとされています。「知らなかった」では済まないことがある、と考えておいたほうが安全です。

もう一つは、固定資産税への影響です。庭木や雑草が伸びているだけで、直ちに税金が上がるわけではありません。ただし、状態が悪化して市区町村から管理不全空家等または特定空家等として勧告を受けると、土地にかかる住宅用地特例が外れ、固定資産税の負担が増える可能性があります。小規模な住宅用地では固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されているため、これが外れる影響は小さくありません。ただし、これは家全体の税金が必ず6倍になるという意味ではなく、主に土地部分の住宅用地特例が外れる話です。詳しくは管理不全空き家とは?固定資産税6倍を防ぐ3つの対応もあわせてご覧ください。

つまり、庭木の越境は「近所への迷惑」だけの話ではなく、所有者自身のリスクにもつながります。だからこそ、苦情の段階で早めに動くことが大切です。

苦情を受けたときの3つの対処法

近隣から苦情が来ると、つい身構えてしまいますが、まずは相手を言い負かすより、現地確認と改善の段取りを優先しましょう。感情がこじれる前に動くのが、結局いちばん早く収まります。

1つ目は、現地を確認して剪定・草刈りを手配することです。
まずは現地の写真で、枝がどこまで越境しているか、道路や隣家に危険がないかを確認します。自分で行ける距離なら剪定・草刈りをし、行けない場合は地元の造園・剪定・草刈り業者に見積もりを取って手配します。「いつ、どこまで作業するか」を隣家に一言伝えておくと、感情面のこじれを防ぎやすくなります。

2つ目は、空き家管理サービスに任せることです。
遠方で年に何度も通えない場合は、見回りや写真報告、庭木・雑草の管理に対応する空き家管理サービスを使う方法もあります。ただし、どこまで対応してくれるかはサービスごとに違うため、剪定・草刈り・緊急時の対応範囲を確認しましょう。何から相談していいか分からないときは、片付け・管理・売却・解体について、対応範囲を確認しながら相談できる窓口を使う方法もあります。

遠方で通えず、庭木や雑草の管理が追いつかない空き家は、
片付け・管理・売却・解体について状況に応じて相談できる窓口もあります。何から手を付けるか迷ったら、まず相談してみる方法もあります。

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3つ目は、管理し続けられないなら出口を決めることです。
毎年の剪定・草刈りを続けるのが難しいなら、管理代行だけでなく、売却・解体・活用といった出口を検討する段階です。税金を抑えるためだけに空き家を残しておくと、庭木や雑草の管理が延々と続き、近隣トラブルも繰り返しがちです。遠方の空き家をどう扱うかで迷う場合は遠方の空き家を管理できないときの選択肢、解体を考えるなら空き家の解体費用と使える補助金も参考になります。

逆に「隣の木」が越境してきたら

ここまでは自分の空き家の庭木が越境する側の話でしたが、逆に、隣地の木が自分の敷地へ越境してくる場合もあります。このとき、いきなり切ってしまうのは避けてください。

原則は、越境してきた枝は、木の所有者に切ってもらうという流れです。ただし、2023年4月に施行された改正民法により、①木の所有者に切るよう催告しても相当の期間(事案によりますが、自治体の案内では基本的に2週間程度とされることがあります)内に切除されない、②所有者や所在が分からない、③急迫の事情がある、といった一定の条件にあてはまる場合には、越境された側が自分で枝を切り取れるようになりました。なお、地面を越えて伸びてきたについては、従来から自分で切り取ることができます。

法改正で切れる場面は広がりましたが、「何でも勝手に切ってよい」わけではありません。トラブルを避けるため、越境の写真や催告した記録を残し、判断に迷うときは自治体の相談窓口や弁護士に確認しましょう。費用を相手に請求できるかは個別の事情によるため、作業前に記録を残しておくと安心です。相手の木を誤って切ってしまい、損害賠償を求められるケースもあるため、慎重に進めるのが安全です。木の所有者が分からない場合は、法務局で登記事項証明書を取れば、土地所有者を確認する手がかりになります。

なお、越境した竹木をめぐる問題は、基本的に当事者間の民事上の問題であり、市区町村が代わりに枝を切ってくれるわけではない点にも注意が必要です。相談先も内容によって変わり、越境枝や損害賠償は弁護士、所有者の確認は司法書士・法務局、境界は土地家屋調査士、固定資産税は自治体の固定資産税担当課、管理不全空家の指導・勧告は自治体の空き家担当窓口が窓口になります。税金・法律の具体的な判断は、弁護士・税理士・司法書士など専門家に確認してください。

まとめ

相続した空き家の庭木の越境は、近隣への迷惑にとどまらず、損害賠償の責任や、勧告による固定資産税の負担増につながることがあります。苦情が来たら身構えず、①現地を確認して剪定・草刈りを手配→②通えないなら空き家管理サービスを使う→③管理し続けられないなら売却・解体など出口を決める、の順で動くのが近道です。

今日できる最初の一歩は、空き家の現状を写真で把握すること。越境の範囲や危険の有無が分かれば、自分で対応するか業者に頼むか、判断がつきます。まずは現地写真を確認し、作業予定日を決め、隣家に一言共有するところから始めましょう。

よくある質問

隣の空き家の枝が越境してきました。勝手に切ってもいいですか?

原則は、木の所有者に切ってもらう流れです。ただし2023年4月の改正民法により、催告しても相当期間内に切られない場合や、所有者・所在が分からない場合など、一定の条件では越境された側が枝を切れることがあります。トラブルを避けるため、写真や催告の記録を残し、迷うときは自治体や弁護士に確認してから対応しましょう。

遠方で空き家に通えず、庭木の管理ができません。どうすればいいですか?

地元の剪定・草刈り業者に単発で依頼する方法のほか、見回りや草木の管理に対応する空き家管理サービスを使う方法もあります。対応範囲はサービスごとに異なるため、剪定・草刈り・緊急時対応が含まれるかを確認しましょう。毎年続けるのが難しいなら、売却や解体など出口の検討も選択肢です。

庭木を放置すると、固定資産税は上がりますか?

庭木や雑草が伸びているだけで直ちに上がるわけではありません。ただし、状態が悪化し、市区町村から管理不全空家等として勧告を受けると、土地の住宅用地特例が外れ、固定資産税の負担が増える可能性があります。勧告に至る前に、早めに手入れをしておくことが大切です。

参考にした公式情報・専門団体情報

※越境した枝や根の扱い、費用負担は個別の事情によって変わります。最新の情報は上記の公式情報や、お住まいの自治体・弁護士など専門家にご確認ください。

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