未登記建物を相続したら?確認する3つの手順

相続した土地

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「相続した実家を売ろうと調べたら、建物に登記簿が無かった」「土地の名義は変えたのに、建物が未登記のままだと後から分かった」「固定資産税は毎年来ているのに、登記では建物が確認できない」——。相続の手続きを進める中で、こうした”未登記建物”に戸惑う方は少なくありません。とくに古い実家や、あとから増築した部分では、こうした状態がよく見つかります。

私はかつて土地の取引や所有者の方とのやり取りに関わる中で、名義や登記の整理を後回しにすると、あとから土地や建物を動かしにくくなると感じる場面がありました。専門家ではありませんが、その経験から言えるのは、未登記建物も、確認する順番と相談先さえ分かれば前に進められる、ということです。この記事では、相続人がまず確認したい3つの手順を整理します。

未登記建物とは?固定資産税が来ていても登記がないことがある

まず、「未登記建物」とは何かを押さえておきましょう。建物の登記記録には、所在・家屋番号・種類・構造・床面積などを記録する表題部があります。未登記建物とは、建物自体は存在しているのに、この表題部の登記が作られていない状態を指します。古い建物や、増築した部分だけが未登記、というケースもあります。

ここで多くの方が混乱するのが、「固定資産税は毎年来ているのに、なぜ登記が無いのか」という点です。じつは、登記と固定資産税は別の仕組みです。登記が無い家屋でも、市区町村は家屋補充課税台帳などで所有者を把握し、固定資産税を課税しています。つまり、「税金が来ている=登記されている」ではないのです。「税金を払ってきたのだから登記もされているはず」と思い込まず、一度確認してみることが大切です。

未登記建物を相続したときの3つの手順

では、相続人はどう動けばいいのか。次の3つの手順で考えると整理しやすくなります。

手順1:本当に未登記かを確認する。
まずは法務局で、その建物の登記記録があるかを確認します。登記記録があれば登記事項証明書を取得でき、見つからない場合や、固定資産税の課税明細書・名寄帳で家屋番号の記載がない場合は、未登記家屋の可能性があります。ただし、自治体によって書類の表示形式が異なるため、家屋番号が見当たらないというだけで自己判断せず、固定資産税課や法務局で確認しましょう。

手順2:表題登記が必要か、土地家屋調査士に相談する。
未登記だと分かったら、建物の表題登記(建物の所在・構造・床面積などを最初に登記する手続き)を検討します。この表題登記は、建物の現況調査や図面作成をともなうため、土地家屋調査士に相談するのが基本です。古い建物は図面や資料が残っていないこともあるため、早めに相談しておくと安心です。

手順3:名義を移すなら、所有権保存登記・司法書士にも相談する。
表題登記で建物の”存在”を登記したら、次に、その建物を相続人の名義にする所有権保存登記を検討します。こちらは権利に関する登記なので、司法書士(や弁護士)の領域です。表題登記と権利の登記では、扱う専門家が違う点に注意してください。

このように、未登記建物では複数の専門家が関わり、何から手を付ければいいか分かりにくいものです。ただし、建物の表題登記は土地家屋調査士、権利に関する登記は司法書士など、資格者でないと扱えない手続きがあります。相続手続き全体の進め方から相談したいときは次のような窓口を入口にする方法もありますが、その場合も、どこまで対応できるかを確認しましょう。

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なお、相続登記全般の流れは相続した不動産の名義変更を自分でやる5手順、登記を放置したときのリスクは相続登記しないとどうなる?放置5つのリスクもあわせてご覧ください。

「表題登記の義務」と「相続登記の義務化」は別物

ここで、とくに誤解しやすい点を整理しておきます。表題登記がない建物については、その所有権を取得した人は、所有権を取得した日から1か月以内に表題登記を申請する義務があるとされ、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になる可能性があります。ただし、古い未登記建物や増築部分が関係する場合は、いつ取得を認識したかなどの確認が複雑になることがあるため、土地家屋調査士や法務局に相談しましょう。

一方で、2024年4月から始まった相続登記の義務化は、土地や、すでに権利の登記がある建物について、相続で取得したことを知った日から3年以内に名義を移す登記をする義務です。これに対し、完全に未登記の建物では、まず表題登記で建物の所在・構造・床面積などを登記し、その後に必要に応じて所有権保存登記で権利関係を登記する、という順番になります。表題登記は建物の”存在・構造”を最初に登記する手続き、相続登記はすでに登記された不動産の”権利の名義”を移す手続きで、根拠も期限も異なります。「相続登記は3年以内だから、表題登記も急がなくていい」と考えるのは危険です。未登記と分かった段階で、早めに専門家へ相談しましょう。

また、相続後すぐに表題登記まで進められない場合でも、自治体によっては未登記家屋の所有者変更届の提出を求められることがあります。これは固定資産税上の手続きで、法務局の登記とは別物です。届け出をしたからといって登記が済むわけではありません。届出の名称や必要書類は自治体によって異なるため、固定資産税課などに確認しましょう。

放置せず、費用の目安も知っておく

未登記のまま放置すると、いざ売却や融資という場面で、買主・金融機関・不動産会社から登記の整理を求められ、手続きに時間がかかる場合があります。「未登記でも売れないとは限らない」ものの、条件付きになったり、売却前に登記を整える必要が出たりと、余計な手間がかかりがちです。売却を考えているなら、不動産会社だけでなく、土地家屋調査士・司法書士にも早めに確認しておくと安心です。

費用は、建物の規模、資料の有無、現地調査や図面作成の難しさによって変わります。民間の解説では、表題登記だけで10万〜15万円程度からと紹介されることもありますが、これは公的に決まった料金ではありません。古い建物や資料が乏しいケースでは上がることもあるため、実際の費用は土地家屋調査士などに見積もりを取りましょう。建物の表題登記は土地家屋調査士、権利に関する登記は司法書士、売却条件は不動産会社など、内容に応じて相談先を選びましょう。税金・法律の具体的な判断は、税理士・司法書士など専門家に確認してください。

まとめ

未登記建物は、「固定資産税は来ているのに登記が無い」という分かりにくさから、相続の場面で見落とされがちです。だからこそ、①登記事項証明書や課税明細で本当に未登記か確認する→②表題登記を土地家屋調査士に相談する→③名義を移すなら所有権保存登記を司法書士に相談する、という順番で一つずつ進めるのが近道です。

今日できる最初の一歩は、その建物の登記事項証明書を1通取ってみること。登記記録があるのか無いのかがはっきりすれば、次に誰へ相談すべきかが見えてきます。売却や解体を考えているなら、なおさら早めの確認が安心につながります。

よくある質問

未登記の建物でも、固定資産税はかかりますか?

はい、かかる場合があります。登記が無い家屋でも、市区町村の家屋補充課税台帳などで所有者が把握され、固定資産税が課税されることがあります。「税金が来ている=登記されている」ではないため、相続の際は登記の有無を別途確認しておくと安心です。

未登記のままでも、相続した家を売れますか?

売れないとは限りませんが、売却や融資の場面で手続きが止まったり、買主・金融機関から登記の整理を求められたりすることがあります。増築部分だけが未登記というケースもあり、扱いは物件によって異なります。売却を考えているなら、不動産会社と土地家屋調査士・司法書士に早めに相談しましょう。

表題登記と、相続登記の義務化は何が違うのですか?

表題登記は建物の所在・構造・床面積などを最初に登記する手続きで、所有権取得から1か月以内の申請義務があるとされています。相続登記の義務化は、相続で取得した不動産の名義を3年以内に移す義務で、別の制度です。期限も内容も異なるため、混同しないよう注意してください。

参考にした公式情報

※未登記かどうかの確認方法や必要な手続きは、建物の状態や自治体によって変わります。最新の情報は上記の公式情報や、法務局・土地家屋調査士・司法書士など専門家にご確認ください。

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