実家を相続したら相続税はかかる?3つの目安

相続した土地

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親が亡くなって実家を引き継ぐとき、多くの人が最初に不安になるのが「相続税はかかるのだろうか」ということです。「実家の査定額と預貯金を足すと、いくらまでなら税金がかからないのか」「古い家だけど、立地は悪くない。土地の評価が高いと税金が出るのか」——調べ始めると、専門用語ばかりで、結局よく分からないまま不安だけが残る。そんな心当たりはないでしょうか。

先に、安心できる事実を一つ。実家を相続したからといって、必ず相続税がかかるわけではありません。 国税庁の令和6年分の申告事績では、相続税の課税割合は10.4%でした。つまり、実際に相続税がかかるのは全体の1割程度です。一方で、土地の評価しだいでは、現金の遺産が少なくても税金が出るケースもあります。

この記事では、税理士に相談する前に、自分で「うちはかかりそうか」をざっくり見るための3つの目安を、土地に関わってきた立場から整理します。なお、相続税は個別性が非常に高く、私は税の専門家ではありません。最終的な判断は必ず税理士に確認してください。本記事は一般的な情報の整理です。

目安1. 遺産の合計が「基礎控除」を超えるか

相続税がかかるかどうかの、まず最初の目安が、正味の遺産額が「基礎控除」という非課税のラインを超えるかです。特例を使わなくても基礎控除内に収まる場合は、原則として相続税はかからず、申告も不要です(最終的な判定は、非課税財産や特例も含めた確認が必要です)。

基礎控除の計算は、次のとおりです。

> 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、相続人が子ども2人なら、3,000万円+600万円×2=4,200万円。この額を超えなければ、原則かかりません。

ここで大事なのは、「実家だけ」で判断しないことです。基礎控除と比べるのは、実家の評価額だけではなく、預貯金・有価証券・生命保険金のうち課税対象になる部分などを足し、そこから借金や葬式費用を差し引いた「正味の遺産額」です。なお、生命保険金には「500万円×法定相続人の数」までの非課税枠があり、それを超えた部分が課税対象になります。実家の価値が低くても、預貯金が多ければ超えることもありますし、その逆もあります。まずは遺産の全体像を一覧にしてみるのが第一歩です。

目安2. 実家の「土地」の評価額を見る

「うちは古い家だから大丈夫」と思っていても、注意が必要です。相続税で効いてくるのは、多くの場合、建物よりも土地の評価額だからです。

ここで誤解しやすいのが、土地を「売れそうな価格」で見てしまうことです。相続税で使うのは、売却想定価格ではなく、相続税評価額という別のものさしです。

  • 土地……市街地は「路線価方式」(道路に付けられた路線価をもとに計算)、路線価がない地域は「倍率方式」(固定資産税評価額に一定の倍率をかける)で評価します。
  • 建物……原則として固定資産税評価額がそのまま評価額になります。

古い実家ほど、建物の評価は下がっています。一方で、立地の良い土地は、路線価が高く、評価額が大きく出ることがあります。「建物は古いのに、土地の評価で基礎控除を超えそう」というのは、実家の相続でよくあるパターンです。預貯金が少ない家ほど、早めに確認しておくと安心です。

目安3. 「小規模宅地等の特例」が使えるか

3つ目の目安が、小規模宅地等の特例です。これは、亡くなった方が住んでいた自宅の土地が「特定居住用宅地等」に該当する場合、一定の要件を満たせば、330㎡まで評価額を80%減らせることがある制度です。土地の評価が大きいほど、効果も大きくなります。

たとえば評価額3,000万円の土地が、特例で600万円相当まで下がることもあります。これが使えるかどうかで、相続税がかかるかどうかが変わるケースは少なくありません。

ただし、この特例は要件がかなり細かく、誰でも使えるわけではありません。 配偶者が取得する場合、同居していた親族が取得する場合、別居の子が取得する場合などで条件が分かれます。別居の子が使えるかどうかは、配偶者や同居親族の有無、居住状況、取得後の保有状況など、細かな要件で変わります。さらに、特例を使った結果、相続税が0円になる場合でも、申告そのものは必要になることがあります。「税額0円なら何もしなくていい」と自己判断するのは危険です。

自分のケースで使えるかは、土地の評価とあわせて、税理士に確認するのが確実です。

相続税がかかりそうか、特例が使えるかの判断は、土地の評価や個別の事情で大きく変わります。
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税金が出そうなら「納税資金」と「期限」も早めに

3つの目安を見て「かかりそうだ」となったら、もう一つ早めに考えておきたいことがあります。納税のお金と、期限です。

相続税の申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。これは、相続登記の期限(取得を知った日から3年以内)とは別の、もっと短い期限です。詳しくは相続登記しないとどうなる?放置5つのリスクもあわせてご確認ください。

そして、相続税は原則として現金で一括納付します。ここで困りやすいのが、「実家という大きな財産は受け継いだのに、手元の現金は少ない」というケースです。土地の評価額は高いのに、納税のための現金が足りない。これは実際によくある状況です。

納税資金が足りないときは、分割で納める「延納」や、物で納める「物納」といった方法もありますが、いずれも要件を満たしたうえで、申告期限までに申請し、許可を受ける必要があります。あわせて、実家や土地を売って資金を作るという選択肢も現実的です。ただし、売却には相続登記や相続人間の合意、買い手探しに時間がかかるため、納税期限が近づいてから動くと間に合わないこともあります。売却を視野に入れるなら、実家が売れない3つの理由と今すぐできる対策相続した土地がいらない時の3つの手放し方も参考になります。

なお、相続税の申告先は、相続人であるあなたの住所地ではなく、亡くなった親の住所地を所轄する税務署です。

相続税の具体的な判断は税理士に、登記は司法書士に、相続人間で争いがある場合は弁護士など、専門家に確認してください。本記事は一般的な情報の整理であり、税額や特例の適用は個別の事情によって異なります。

まず今日できること

むずかしく考えすぎる前に、できるのはシンプルな2つです。1つは、実家・預貯金・保険・借金などをざっくり一覧にして、基礎控除を超えそうかを見ること。もう1つは、実家の固定資産税の通知書や、土地の所在が分かるものを手元にそろえておくこと。これがあるだけで、税理士への相談がぐっとスムーズになります。

相続税は、早く見通しを立てるほど、選べる手が増えます。10か月という期限は、思っているより短いものです。

よくある質問

Q1. 実家を相続したら、必ず相続税がかかりますか?

いいえ、必ずかかるわけではありません。遺産の合計(実家・預貯金・保険金のうち課税対象になる部分などから、借金・葬式費用を引いた正味の額)が、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えなければ、原則としてかかりません。実際に相続税がかかるのは全体の1割ほどです。ただし、土地の評価額が高い場合は、現金が少なくてもかかることがあります。

Q2. 古い家でも相続税がかかることがありますか?

あります。建物が古くて評価が低くても、土地の相続税評価額(路線価など)が高ければ、遺産の合計が基礎控除を超えることがあります。土地は「売れそうな価格」ではなく「相続税評価額」で見るのがポイントです。小規模宅地等の特例が使えれば評価を大きく下げられる場合もあるので、土地の評価とあわせて税理士に確認するのが確実です。

Q3. 相続税が払えないときはどうなりますか?

相続税は、申告期限(10か月以内)までに現金で一括納付するのが原則です。納税資金が足りない場合は、分割で納める「延納」や物で納める「物納」といった制度のほか、実家や土地を売って資金を作る方法もあります。いずれも要件や向き不向きがあるため、期限に余裕をもって、早めに税理士など専門家に相談してください。


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