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親が亡くなって実家を引き継いだけれど、「相続登記、片付け、売却、役所……やることは分かっても、どういう順番で進めればいいのか分からない」。遠方で頻繁に通えず、片付けだけで休日がつぶれ、費用もいくらかかるのか見えない——。そうして手が止まり、実家を放置してしまう方は少なくありません。
先に結論をお伝えします。実家じまいは、いきなり片付けから始めるのはおすすめしません。 まず押さえたいのは、期限のある手続きと相続関係の確認です。私は土地の取引や所有者の方とのやり取りに関わってきました。法律や税の専門家ではありませんが、国税庁・法務省などの情報をもとに、実家じまい全体の進め方を7ステップで交通整理します。個別の手続きは、それぞれ詳しい記事に内部リンクをつないでいます。
実家じまいとは?まず「親が存命か」で分かれる
「実家じまい」は法律上の正式な用語ではありません。本記事では、親が住まなくなった実家について、相続・片付け・売却・解体・活用などを整理して一区切りつける一連の作業を指すものとします。
最初に分かれ道があります。親がまだ存命(施設入居など)なのか、亡くなっているのかです。
- 親が存命の場合:実家はまだ親本人の財産です。子が将来の相続人でも、勝手に売却・解体はできません。認知症などで親の判断能力が低下し、成年後見人が親の居住用不動産を売却・賃貸・解体する場合には、家庭裁判所の許可が必要です(認知症の親の家が売れないときの3つの対処法)。
- 親が亡くなっている場合:以下の7ステップで進めます。
実家じまいの全体像:7つのステップ(片付けは後半)
やることの地図です。上から順に進めるのが安全です。
- 相続人・財産・実家の名義を確認する(遺言の有無も)。まず全体像の把握から(実家を相続したらまず確認する5つのこと)。
- 期限のある手続きを先に押さえる。相続放棄は原則3か月、準確定申告は必要な場合4か月、相続税は必要な場合10か月(相続放棄の前に知るべき5つのデメリット/準確定申告とは?4か月以内に進める3つの手順/実家を相続したら相続税はかかる?3つの目安)。相続税がかかりそうなら、小規模宅地等の特例が使えるかもあわせて確認します。
- 実家をどうするか家族で方針を決める(住む/貸す/売る/解体/活用)。兄弟の分け方でもめやすい段階です(実家を兄弟で相続したときの分け方4つと注意点/配偶者居住権とは?母が実家に住み続ける3つの注意点)。
- 遺産分割・相続登記を進める(2024年から義務化)(相続登記しないとどうなる?放置5つのリスク)。
- 重要書類を残しながら遺品整理・片付けをする(実家の遺品整理にかかる費用と進め方3ステップ)。
- 売却・解体・活用を実行する(解体したら建物滅失登記も)(相続した土地がいらない時の3つの手放し方/相続土地国庫帰属制度で土地を手放す3条件)。
- 売却後の確定申告・特例を済ませる(相続した家を売るときの税金3つと節税の特例)。
片付けから手を付けたくなりますが、それが放棄の判断や税の期限を逃す原因になります。順番が大事です。
「順番は分かったけれど、遠方で手が回らない」ときは、
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つまずきやすい5つのポイント
競合の「7ステップ解説」と違い、ここが実家じまいの本当の落とし穴です。
①「片付け」から始めない(期限と相続放棄が先)
親の死後には、相続放棄(原則、自分が相続人になったことを知った時から3か月)・準確定申告(必要な場合は4か月)・相続税(必要な場合は10か月)という早い期限があります。特に注意したいのが相続放棄です。借金の方が多いなどで放棄を検討しているなら、遺品や財産を安易に処分してはいけません。相続財産を処分すると、単純承認(=相続を受け入れたこと)とみなされ、放棄できなくなることがあります。まずは遺言・権利証・通帳・保険証券などの重要書類を探して保全し、大量廃棄はそのあとにしましょう。
②相続放棄と「国庫帰属」は別物
「いらない実家を手放す」方法として混同されがちですが、この2つは全く別です。
- 相続放棄:家だけを捨てる制度ではなく、預金などのプラス財産や借金も含めた相続全体を手放す選択。原則3か月以内(相続放棄した土地の管理義務はいつまで?3つの注意点)。
- 相続土地国庫帰属制度:相続した土地を国に引き取ってもらう別の制度。建物が建っている土地は申請できず、審査手数料(1筆14,000円)や負担金がかかり、境界争いなどでも使えない場合があります。「解体すれば必ず国が引き取る」ではありません。
③解体は「査定・見積もり」の後に
古い家はすぐ壊したくなりますが、解体前に売却査定と解体見積もりを比較してください。建物を残したほうが買い手がつきやすい物件もありますし、買主側で解体してもらう方がよい場合もあります。さらに、建物を壊して更地にすると、住宅用地の固定資産税の軽減(住宅用地特例)が外れ、翌年(1月1日時点の状況で判定)から土地の固定資産税が上がりやすくなります。「固定資産税が6倍になる」と単純化されがちですが、正確には土地の課税標準の特例が外れる話で、負担調整などもあるため必ず6倍になるわけではありません。壊す前に総額で比べましょう。
④相続登記は3年以内(2027年3月の経過措置に注意)
2024年4月から相続登記は義務化されました。原則、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。さらに、2024年4月1日より前に相続で取得したと知っていた未登記の不動産も対象で、原則2027年3月31日までに登記が必要です。古い名義のまま放置された実家は、この経過措置に特に注意してください。遺産分割が後から成立した場合は、その成立日から3年以内という義務もあります。
⑤片付け・解体業者は「見積もりと許可」を確認
遺品整理では、見積もりを大きく上回る高額請求のトラブルが国民生活センターにも寄せられています。複数社から見積もりを取り、追加料金やキャンセル料を確認しましょう。家庭の廃棄物を運ぶには、市町村の委託または一般廃棄物処理業の許可が必要で、買い取りをする業者は古物商許可も確認ポイントです(「遺品整理士の資格があるか」より重要です)。
実家じまいでかかる費用の目安
費用は状況で大きく変わります。断定はできませんが、全体像として次のようなものがかかります(いずれも必ず個別に見積もり・試算してください)。
- 名義変更(相続登記):登録免許税(固定資産税評価額の0.4%が原則)+司法書士に頼む場合の報酬。
- 遺品整理・片付け:荷物量などによっては数十万円規模になるケースもあります(階段・距離・特殊清掃で変動)。
- 解体:民間の目安として木造で1坪あたり3〜5万円程度という情報もありますが、アスベストや残置物、接道条件で大きく増えます。着工前の申請が必要な補助制度もあるので、契約・着工前に所在地の自治体へ確認を。
- 税金:売却して利益(譲渡所得)が出れば譲渡所得税。実家なら相続空き家の特別控除(最高3,000万円)が使える場合があります(相続・遺贈での取得、原則1981年5月31日以前の建築、2027年12月31日までの譲渡などの要件あり。2024年以後の譲渡で、その家屋・敷地を取得した相続人が3人以上のときは最高2,000万円になります)(相続した空き家の3000万円控除を使う5つの条件)。この特別控除と取得費加算の特例は、同じ不動産の譲渡については併用できないため、どちらを使うか比較します(どちらが得かは税理士に試算を)。
売れるか不安な実家や、古家付き・田舎の土地などは、仲介での売却だけでなく、現況のまま買い取ってもらう選択肢もあります。まずは価格の目安を知る材料にしてください。
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専門家の使い分け
実家じまいは、一人の専門家で全部が済むわけではありません。相談先を分けて考えると迷いません。
- 司法書士:相続登記など権利の登記
- 税理士:相続税・譲渡所得税や特例の比較・試算
- 弁護士:遺産分割など相続人どうしの争い
- 不動産会社:査定・売却・賃貸
- 解体業者:解体の見積もり・工事
- 土地家屋調査士:建物を壊した後の建物滅失登記(原則1か月以内)や、境界・測量がからむとき
税金・法律の具体的な判断は、税理士・司法書士など専門家に確認してください。 この記事は全体の順番をつかむための地図として使い、各手続きの詳細は上記の相談先とリンク先の記事で確認するのが安全です。
まとめ
実家じまいでいちばん大事なのは、「片付けから始めない」ことです。まず①相続人・財産・名義を確認し、②相続放棄(原則3か月)・準確定申告(必要な場合4か月)・相続税(必要な場合10か月)という期限を押さえる。そのうえで、③家族で方針を決め、④相続登記を進め、⑤重要書類を残して片付け、⑥売却・解体・活用を実行し、⑦売却後の確定申告まで済ませる——この順番なら迷いません。
今日できる最初の一歩は、「親は存命か/亡くなっているか」「相続放棄を考える事情はあるか(借金など)」「実家の名義は誰か」「期限(相続放棄3か月/申告が必要なら準確定申告4か月・相続税10か月)はいつか」を1枚のメモに書き出すことです。全部を一度にやろうとせず、期限のあるものから片付けていきましょう。
よくある質問
実家じまいは何から始めればいいですか?
片付けからではなく、期限と相続関係の確認から始めます。まず相続人・財産・実家の名義と遺言の有無を確認し、相続放棄(原則3か月)・準確定申告(必要な場合4か月)・相続税(必要な場合10か月)という期限を押さえます。借金などで相続放棄を考えているなら、遺品や財産を処分する前に専門家へ相談を(処分すると放棄できなくなることがあります)。片付け・売却はそのあとです。
実家じまいにはどれくらい費用がかかりますか?
状況で大きく変わるため一概には言えませんが、名義変更(登録免許税・司法書士報酬)、遺品整理(一軒家で数十万円規模になることも)、解体(木造で1坪3〜5万円程度という民間目安もあるが要現地見積もり)、売却益が出た場合の譲渡所得税などがかかります。相続空き家の特別控除(最高3,000万円。相続人が3人以上なら最高2,000万円)など税の特例が使えることもあるので、金額が大きい場合は税理士に試算してもらうと安心です。
遠方に住んでいて頻繁に通えません。実家じまいは進められますか?
進められます。相続人調査・戸籍収集・相続登記は司法書士などに代行を依頼でき、遺品整理も業者に頼めます(複数見積もり・一般廃棄物処理業の許可の確認を)。売却も、現況のまま買い取ってもらう方法があります。すべてを自力でやろうとせず、期限のある手続きだけ先に押さえ、あとは専門家・業者に切り分けて任せると、遠方でも回せます。
参考にした公式情報
- 法務省「相続登記の申請義務化について」(3年の期限・2027年3月31日の経過措置)
- 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 国土交通省 空き家対策特設サイト(住宅用地特例・解体の補助制度)
- 法務省「相続土地国庫帰属制度で引き取ることができない土地の要件」
- 国民生活センター「遺品整理サービスでの契約トラブル」
- 裁判所「成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可」
- 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表(相続の所有権移転は原則0.4%)
- 法務局「不動産登記申請手続」(建物滅失登記など表示に関する登記)
※制度の要件や費用の目安は改正や個別の事情により変わります。最新の情報は上記の公式情報や、司法書士・税理士・弁護士など専門家にご確認ください。

