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親が亡くなって実家を相続することになったとき、悲しみが落ち着く間もなく、さまざまな手続きが押し寄せてきます。「何から手をつければいいのか分からない」という戸惑いは、ごく自然なものです。やっかいなのは、相続には期限の決められた手続きがいくつかあり、知らないまま時間が過ぎると、選べる道が狭まってしまうことです。
私はかつて土地の取引に関わる仕事をする中で、土地の扱いについて所有者の方と話す機会がありました。その経験から言えるのは、最初に「何を・いつまでに確認すればいいか」の全体像をつかんでおくだけで、その後がぐっと楽になる、ということです。この記事では、実家を相続したらまず確認したい5つのことを、期限とあわせて順に整理します。
なぜ「まず確認」が必要なのか
相続には、放っておくと不利になる手続きがあります。たとえば、相続するかどうかを決める「相続放棄」は、原則として相続を知った日から3か月以内。相続税の申告は10か月以内。そして2024年4月からは、相続した不動産の名義変更(相続登記)も義務化されました。
つまり、「とりあえず落ち着いてから」と先延ばしにすると、知らないうちに期限を過ぎてしまう手続きがあるのです。まずは全体像を把握し、期限の早いものから順に確認していくことが大切です。
実家を相続したらまず確認する5つのこと
ここからは、おおむね確認すべき順に、1から5まで見ていきます。
1. 相続放棄をするかどうか(期限:3か月)
実家や土地に価値がなく、むしろ借金や管理の負担のほうが大きい場合、「相続放棄」という選択肢があります。家庭裁判所に申述すると、はじめから相続人でなかったことになり、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継ぎません。ただし、「いらない土地だけ放棄する」ことはできず、預貯金など他の財産も含めてすべてを手放すことになります。期限は、自分のために相続が始まったことを知った時から原則3か月以内と短いため、早めの判断が必要です。
2. 相続税がかかるかどうか(期限:10か月)
相続税には「基礎控除」があり、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」までは課税されません。たとえば相続人が3人なら、4,800万円までは相続税がかからない計算です。なお、相続税は実家の土地・建物だけでなく、預貯金や有価証券、生命保険金なども合わせた財産全体で考えます。実際に相続税がかかるのは一部のケースで、基礎控除の範囲内であれば申告も原則不要です。ただし、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などを使って税額がゼロになる場合は申告が必要なこともあるため、かかりそうかどうかは早めに見積もっておきましょう。申告と納税の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
相続税がかかりそうか、特例が使えるかは、財産の内容や土地の評価で変わります。
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3. 名義を変える(相続登記・期限:3年)
実家の名義が亡くなった方のままだと、売却や活用、国庫帰属制度の検討を進める際に、名義や相続関係の整理が必要になります。2024年4月から相続登記は義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しないと、過料の対象になることがあります。まずは登記簿で今の名義を確認し、相続人を確定させることから始めます。
4. 実家の状態と、おおよその価値を知る
建物の傷み具合、土地の広さや形、立地を確認します。空き家のまま放置すると、傷みが進むだけでなく、「特定空家」に指定されて固定資産税の優遇が外れることもあります(くわしくは空き家の固定資産税が6倍になる前にやる3つのことで解説しています)。あわせて、土地と建物にどれくらいの価値がつくのかも知っておくと、次の判断がしやすくなります。複数の不動産会社にまとめて依頼できる一括査定なら、無料で、おおよその相場感をつかめます。
5. 出口の方向性を考える
住む・貸す・売る・解体する・手放す。実家の使い道には、いくつかの方向があります。今すぐ決める必要はありませんが、「どの方向がありえるか」を家族で共有しておくと、その後の手続きで迷いにくくなります。売却を考えるなら実家が売れない3つの理由と今すぐできる対策も参考になります。
相続した実家でよくある3つの誤解
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手続きを止めてしまいがちな誤解を、3つ解いておきましょう。
- 「名義はとりあえずそのままでいい」……相続登記が義務化された今、放置すると過料の対象になりえます。また、名義を変えないうちに次の相続が起きると、相続人が増えて手続きが一気に複雑になります。
- 「相続放棄すれば、もう何もしなくていい」……相続放棄をしても、放棄した時点でその実家を現に占有している場合は、相続人や相続財産清算人に引き渡すまで、一定の保存義務が残ることがあります。「放棄=すぐに完全に無関係」とは限りません。
- 「実家は資産だから、持っておいたほうが得」……使う予定がなければ、固定資産税や管理の負担が続くだけ、ということもあります。資産になるか負担になるかは、立地と使い道しだいです。
進めるときの注意点
- 相続人全員で話し合う……実家が複数の相続人の共有になる場合、売却などには原則として全員の同意が必要です。早めに方針を共有しておきましょう。
- 感情と手続きを分けて考える……思い出の詰まった実家ほど、判断は難しくなります。期限のある手続きと、ゆっくり決めてよいことを分けると、気持ちの整理がつきやすくなります。
- 専門家を上手に頼る……相続は、登記・税金・分割と、関わる分野が広い手続きです。一人で抱え込まず、必要に応じて専門家に相談しましょう。
なお、税金・法律・登記の具体的な判断は、税理士・司法書士・土地家屋調査士など専門家に確認してください。本記事は一般的な情報の整理です。
よくある質問
Q1. 相続の手続きは、何から始めればいいですか?
まずは期限の早いものからです。相続放棄を検討するなら3か月以内、相続税の申告は10か月以内、相続登記は取得を知った日から3年以内が目安になります。並行して、実家の名義・状態・価値を確認しておくと、その後の判断がスムーズになります。
Q2. 相続税は、実家を相続したら必ずかかりますか?
いいえ、必ずかかるわけではありません。「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があり、その範囲内であれば相続税はかかりません。実際にかかるのは一部のケースです。ただし、特例を使って税額がゼロになる場合は申告が必要なこともあるため、心配なときは早めに税理士に相談しましょう。
Q3. 遠方に住んでいて、実家の管理ができません。どうすればよいですか?
無理に通って管理を続けるより、早めに出口(売る・貸す・手放す)を検討するのが現実的です。空き家のまま放置すると、傷みや税負担のリスクが高まります。まずは名義を整え、おおよその価値を把握したうえで、家族で方針を話し合うことをおすすめします。
参考にした公式情報

