空き家の固定資産税が6倍になる前にやる3つのこと

空き家

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「実家が空き家になったまま、もう何年も使っていない」。そんな状態を、なんとなく先延ばしにしていませんか。使っていなくても固定資産税は毎年かかりますが、こわいのはそれだけではありません。空き家を放置していると、ある時を境に、土地にかかる固定資産税が最大でおよそ6倍にまで上がってしまうことがあります。

私はかつて土地の取引に関わる仕事をする中で、土地の扱いについて考える場面がありました。専門家ではありませんが、土地のことを考えるうえで実感するのは、この「6倍」は、ある日突然降ってくるものではない、ということです。必ず手前に段階があり、早めに気づいて動けば、十分に避けられます。この記事では、なぜ6倍になるのかという仕組みと、そうなる前に打てる手を、順を追って整理します。

なぜ空き家の固定資産税が「最大6倍」になるのか

まず、仕組みを知っておくと安心して動けます。

住宅が建っている土地には、「住宅用地の特例」という、固定資産税を軽くする仕組みがあります。これによって、200平方メートルまでの部分は、土地にかかる税金のもとになる金額が6分の1に抑えられています。つまり、家が建っているおかげで、土地の固定資産税はかなり安くなっているのです。

問題は、空き家を放置したときです。2015年に始まった空き家対策の法律にもとづき、倒壊の恐れがあったり、衛生上の問題があったりする空き家は、自治体から「特定空家」に指定されることがあります。さらに2023年の法改正で、その一歩手前の状態を指す「管理不全空家」という区分も加わりました。手入れされず傷みが進みはじめた空き家も、対象になりうるということです。

そして、こうした指定を受けて自治体から「勧告」という段階まで進むと、先ほどの住宅用地の特例が外れます。その結果、土地の固定資産税が、もとの金額で計算されるようになり、最大でおよそ6倍まで上がってしまうのです。

ここで一つ補足しておきます。「6倍」とは、家にかかる税金のすべてが6倍になるという意味ではありません。あくまで土地の部分にかかる固定資産税の話で、しかも「勧告」という段階まで進んだ場合に起こることです。むやみに怖がる必要はありませんが、放置を続けるかぎり、現実に起こりうることだと知っておくと安心です。

「まだ大丈夫」が一番危ない|よくある3つの誤解

行動を止めてしまう誤解を、先に3つ解いておきましょう。

  • 「指定されてから考えればいい」……指定や勧告は、いきなり来るわけではありません。多くの場合、その前に自治体からの助言や指導があります。通知が来てから慌てて動くと、選べる選択肢が狭まってしまいます。早く気づくほど、打てる手は多くなります。
  • 「人が住んでいないだけなら問題ない」……空き家そのものが悪いのではなく、放置されて傷んでいくことが問題です。風を通し、草木を手入れし、最低限の管理をしている空き家は、指定の対象になりにくいものです。
  • 「解体して更地にすれば安心」……実は、建物を壊して更地にすると、先ほどの住宅用地の特例が外れ、かえって土地の固定資産税が上がることがあります。解体は、その後どうするかという出口とセットで考える必要があります。

6倍を避ける4つの出口(売る・解体・活用・手放す)

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ここからは、放置を抜け出すための具体的な出口を、費用・手間・スピードの観点で整理します。どれを選ぶにしても、まずは今の土地と建物にどれくらいの価値があるかを知ることが出発点になります。

1つ目は、売ることです。
仲介で買い手を探す方法のほか、不動産会社に直接買い取ってもらう方法があります。買取は価格が相場より下がりやすい代わりに、早ければ数週間で現金化でき、残置物ごと引き取ってもらえることもあります。急ぐ場合や手間をかけたくない場合に向いています。

2つ目は、解体して更地にすることです。
建物が古く危険な場合の選択肢です。自治体によっては解体費用の補助制度を用意していることもあります。ただし前述のとおり、更地にすると土地の固定資産税が上がる場合があるため、売却や活用の見通しとあわせて判断するのが安全です。

3つ目は、活用することです。
賃貸に出したり、駐車場にしたりして、持ちながら収入を得る選択肢です。立地によって向き不向きがありますが、手放したくない事情があるときの一つの道です。

4つ目は、手放すことです。
どうしても出口が見えないときは、いらない土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」という制度もあります。ただし、建物がある土地はそのままでは対象にならず(解体して更地にすることが前提です)、申請時の審査手数料や、引き取りが認められた際に納める負担金もかかります。使えるケースは限られるため、選択肢の一つとして知っておく、くらいがちょうどよいでしょう。

今日からできる3つの手順

急がず、早めに向き合うほど、落ち着いて選択肢を比較しやすくなります。迷ったときは、次の順番で進めると整理しやすくなります。

まず、現状を把握します。
自治体から助言や指導の通知が届いていないかを確認し、建物の傷み具合(雨漏り、傾き、庭の状態など)を見ておきます。あわせて、土地・建物の名義が誰になっているかも確認しておきましょう。

次に、価値とおおよその相場を調べます。
売る・貸す・解体する、いずれを選ぶにも、今の価値が分からなければ判断できません。複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる一括査定なら、無料で、その土地のおおよその相場感をつかめます。

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最後に、家族で方針を共有し、相談先を決めます。
誰が中心になって進めるか、いつまでに何を決めるかを話し合っておくと、その後がスムーズです。そのうえで、登記なら司法書士、税金なら税理士、空き家全般なら自治体の相談窓口へ、必要に応じてつないでいきます。

動く前に気をつけたい注意点

最後に、つまずきやすい点を3つ挙げておきます。

  • 解体のタイミングに注意する……固定資産税は毎年1月1日時点の状況で決まります。年末に解体するか年明けにするかで、その年の税金の扱いが変わることがあります。解体を考えるなら、時期も含めて事前に確認しておきましょう。
  • 名義を先に整えておく……亡くなった方の名義のままでは、売ることも、国に引き取ってもらうこともできません。相続人を確定させ、相続登記で名義を変えておく必要があります。時間がかかるので、早めに着手するのが安心です。
  • 自治体からの通知を放置しない……助言や指導の通知は、行動を促すサインです。無視して時間が経つほど、勧告へと段階が進み、税金の負担も重くなります。届いたら、まず内容を確認してください。遠方に住んでいて、こまめに様子を見に行けない場合は、遠方の実家を管理できない時にやる5つのことも参考にしてください。

なお、税金・法律の具体的な判断は、税理士・司法書士など専門家に確認してください。本記事は一般的な情報の整理です。制度の内容や補助の有無は自治体によって異なります。

「売る」を選択肢に入れている方は、実家が売れない3つの理由と今すぐできる対策もあわせて読むと、判断の材料が増えます。

よくある質問

Q1. まだ自治体から何も通知が来ていません。それでも対象になりますか?

通知が来ていない今が、一番動きやすいタイミングです。特定空家や管理不全空家の指定は、ある程度傷みが進んでから行われることが多く、その前に手入れや方針決めをしておけば、指定そのものを避けやすくなります。通知が来ていないうちに、現状の確認だけでも始めておくことをおすすめします。

Q2. 解体すると固定資産税は上がるのですか、下がるのですか?

建物にかかっていた固定資産税はなくなりますが、土地にかかっていた住宅用地の特例が外れるため、土地の固定資産税は上がることがあります。トータルでどうなるかは土地や建物の条件によって変わるため、解体前に、売却や活用の見通しとあわせて専門家に確認するのが安全です。

Q3. 時々換気には行っています。それでも特定空家になりますか?

換気だけで安心、とは言い切れません。指定の判断では、建物の傷みや老朽だけでなく、庭木の繁茂、害虫やネズミなどの発生、悪臭、景観の悪化、近隣への影響など、さまざまな状態が見られます。風を通すことに加えて、これらに問題が出ていないかを定期的に確認し、手入れを続けていることが大切です。とはいえ、離れて暮らしながら管理を続けるのは負担も大きいものです。管理を続けるのか、それとも出口を決めるのかを、家族で早めに話し合っておくと安心です。


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