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「空き家になった実家を、いっそ解体してしまおうか」。そう考えたとき、まず気になるのが費用ではないでしょうか。木造の家なら、解体費用はおおよそ100万円から150万円ほどが一つの目安と言われています。決して小さな金額ではありませんが、自治体の補助金が使えたり、解体のしかたを工夫したりすることで、負担を抑えられる場合があります。
私はかつて土地の取引に関わる仕事をする中で、残置物がある土地や、土地の使い道を考える場面に関わってきました。解体そのものを直接担当したわけではありませんが、土地の扱いを考えるうえでは、費用・制度・その後の出口をセットで確認することが大切だと感じています。この記事では、空き家の解体費用の相場と、補助金の使い方、そして見落としやすい3つの注意点を、順を追って整理します。
空き家の解体費用の相場はどれくらい?
解体費用は、建物の構造と広さで、おおよその見当がつきます。一般的には、1坪あたりの単価で次のように言われています。
- 木造:1坪あたり3万〜5万円ほど
- 鉄骨造:1坪あたり4万〜6万円ほど
- 鉄筋コンクリート造:1坪あたり6万〜8万円ほど
たとえば木造で30坪ほどの家なら、おおよそ100万〜150万円が目安になります。ただし、これはあくまで建物本体を壊す費用の目安です。実際の見積もりは、次のような条件で大きく変わります。
- 前面の道路が狭い……重機が入れず手作業が増えると、その分高くなります。
- 隣の家との距離が近い……養生や防音に手間がかかります。
- 残置物(家財道具)が多い……家具や家電が残っていると、別途その処分費が加わります。
- ブロック塀・庭木・物置・浄化槽などがある……これらの撤去費も上乗せされます。
- 古い建物……2006年9月以前に着工した建物には、アスベスト(石綿)を含む建材が使われている可能性があります。その場合、解体前の調査や除去に追加の費用がかかります。見積もりにアスベストの事前調査費用が含まれているかも、確認しておくと安心です。
特に残置物は、自分で片付けておくか、不用品回収を頼むかで、費用も期間も変わってきます。解体業者にすべて任せると割高になりがちなので、先に片付けておくと総額を抑えやすくなります。
解体や売却の前に、家の中の家具・家電・ごみ(残置物)を片付ける必要があります。
不用品回収を使えば、分別から運び出しまでまとめて任せられます。
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解体費用で損しないための、よくある3つの誤解
費用の話に入る前に、判断を狂わせやすい誤解を3つ解いておきましょう。
- 「解体すれば固定資産税が安くなる」……建物にかかっていた分はなくなりますが、土地のほうは「住宅用地の特例」が外れて、かえって上がることがあります。これは後ほど詳しく触れます。
- 「見積もりは1社取れば十分」……解体費用は、業者によって差が出やすい工事です。同じ家でも数十万円違うことは珍しくありません。必ず複数社から相見積もりを取りましょう。
- 「とにかく壊してから考えればいい」……壊した後の使い道(売る・活用する)を決めずに解体すると、更地のまま税金だけが上がる、ということになりかねません。
自治体の解体補助金(除却補助)の使い方
自治体によっては、老朽化して危険な空き家の解体費用の一部を補助する制度があります。「老朽危険空き家除却補助」など名称はさまざまですが、これは国(国土交通省)の空き家対策の枠組みを使って、各自治体が実施しているものです。
ただし、補助率や上限額、対象となる条件は、自治体によって大きく異なります。「費用の何割まで」「上限いくらまで」は一律ではないので、金額をうのみにせず、必ずお住まいの市区町村の窓口で確認してください。
使ううえで、特に大事なポイントが2つあります。
1つ目は、申請は着工前(解体する前)が原則だということです。先に壊してしまうと、補助の対象外になることがほとんどです。「補助金が使えるか」を確認するのは、業者に発注する前のタイミングです。
2つ目は、予算の枠があり、年度内でも早めに締め切られることがある点です。先着順のところも多いので、解体を考え始めたら、まず自治体の空き家担当窓口に「補助制度があるか・条件は何か」を問い合わせるところから始めましょう。
解体する前に確認したい3つのこと
費用と補助金が見えてきても、すぐに発注するのは少し待ってください。土地の取引に関わる仕事をする中で感じたのは、急いで壊さず、一度立ち止まって考えるほうが、結果的に納得のいく判断になりやすい、ということです。発注の前に、次の3つを確認しておくと安心です。
1つ目は、そもそも解体が必要かどうかです。
古い家でも、「古家付き土地」としてそのまま売れることがあります。解体費用をかけずに買い手が見つかれば、その分の出費を抑えられます。解体せずに売れないかを確かめる意味でも、土地と建物のおおよその価値を先に知っておくと、判断がしやすくなります。複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる一括査定なら、無料で、おおよその相場感をつかめます。
2つ目は、壊した後の出口を決めておくことです。
売るのか、駐車場などに活用するのか、それとも手放すのか。出口を決めてから解体すれば、更地にしたまま持て余す事態を避けられます。売れずに困っている場合は、実家が売れない3つの理由と今すぐできる対策もあわせて参考にしてください。
3つ目は、補助金が使えるかの確認です。
前述のとおり、申請は着工前が原則です。発注を決める前に、必ず窓口で確認しておきましょう。
解体を進めるときの3つの注意点
最後に、つまずきやすい注意点を3つ挙げておきます。
- 固定資産税が上がることがある……建物を壊して更地にすると、住宅用地の特例が外れ、土地部分の固定資産税が最大でおよそ6倍になることがあります。固定資産税は毎年1月1日時点の状況で決まるため、解体の時期も含めて考える必要があります。仕組みは空き家の固定資産税が6倍になる前にやる3つのことで詳しく整理しています。
- 建物滅失登記を忘れない……建物を取り壊したら、その日から1か月以内に「建物滅失登記」を申請するよう法律で定められています。怠ると過料の対象になることもあり、放っておくと登記簿の上では建物が残ったままになってしまいます。解体するかどうかをまだ決めかねている、遠方の実家をどう管理すればいいか分からない場合は、遠方の実家を管理できない時にやる5つのことも参考になります。
- 業者は相見積もりと登録の確認を……解体工事には、解体工事業の登録や建設業の許可が必要です。極端に安い見積もりには、必要な処分費が含まれていなかったり、廃材の不法投棄につながったりするリスクもあります。複数社を比べ、内訳まで説明してくれる業者を選びましょう。
なお、税金・法律・登記の具体的な判断は、税理士・司法書士・土地家屋調査士など専門家に確認してください。本記事は一般的な情報の整理です。補助制度の有無や内容は自治体によって異なります。
よくある質問
Q1. 相続した空き家の解体費用は、誰が負担するのですか?
原則として、その空き家を相続した所有者が負担します。相続人が複数いる場合は、誰がどれだけ負担するかを、あらかじめ話し合っておく必要があります。費用の一部は自治体の補助でまかなえることもあるため、負担を分け合う前に、補助制度の有無も確認しておくとよいでしょう。
Q2. 解体費用を払うのが難しいときは、どうすればよいですか?
いくつか道があります。自治体の補助金を使う、解体せずに「古家付き土地」や「更地渡し」の条件で売る、残置物ごと引き取ってくれる買取業者に相談する、などです。金融機関のなかには空き家の解体費用に使えるローンを用意しているところもありますが、利息や条件をよく確認したうえで検討してください。
Q3. 解体すれば、固定資産税は本当に安くなりますか?
建物にかかっていた固定資産税はなくなります。ただし、更地にすると土地の住宅用地の特例が外れるため、土地の固定資産税はむしろ上がることがあります。トータルで安くなるかどうかは土地や建物の条件によって変わるので、解体前に、売却や活用の見通しとあわせて専門家に確認するのが安全です。
参考にした公式情報
- 国土交通省「空き家再生等推進事業について」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000011.html
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法 関連情報」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html
- 法務局「建物を取り壊した(建物滅失登記)」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/fudousan5.html

