遠方の実家を管理できないときにやる5つのこと

空き家

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親が施設に入ったり、亡くなったりして、誰も住まなくなった実家。遠くに住んでいると、「管理しなければ」と思いながら、そう簡単には通えません。

遠方の実家でまず多くの人が戸惑うのは、「そもそも何を、どの頻度で見に行けばいいのか分からない」ことです。換気や通水、庭の手入れ、郵便物——気にはなるけれど、自分の仕事や家庭があり、片道何時間もかけて何度も帰るのは現実的ではない。「行かなきゃ」と思うほど、行けていない自分への後ろめたさだけが積もっていく。そんな心当たりはないでしょうか。

私はかつて土地の取引や所有者の方とのやり取りに関わる仕事の中で、遠方の土地や残置物がある土地について、所有者の事情を踏まえて進め方を考える場面がありました。そこで感じたのは、遠方の実家ほど「気持ち」だけでは管理が続かない、ということです。距離・時間・家庭の事情を前提に無理のない形を決めること。そして、「いつまで管理するのか」「最後はどうするのか」という出口を、早めに考えておくことです。

この記事では、遠方の実家を管理できないときに、まずやっておきたい5つのことを、管理を続けるか手放すかの判断もあわせて整理します。

放置された空き家は、なぜ危ないのか

「使っていないだけ」と思っていても、管理されない空き家には、いくつものリスクが積み上がっていきます。

  • 税金の優遇が外れることがある……管理が行き届かず、特定空家や管理不全空家として市区町村から勧告を受けると、土地部分の固定資産税の住宅用地特例が外れ、負担が増えることがあります。2023年の法改正で、倒壊寸前の特定空家だけでなく、その前段階である「管理不全空家」も行政指導の対象になりました。なお、よく「固定資産税が6倍になる」と言われますが、これは家全体の税金が単純に6倍になるという意味ではなく、土地部分の住宅用地特例が外れる話です。仕組みは空き家の固定資産税が6倍になる前にやる3つのことで整理しています。
  • 管理責任を問われることがある……老朽化した建物の一部が落ちたり、塀が倒れたりして近隣に被害を与えた場合、所有者が責任を問われる可能性があります。
  • 資産価値が下がる……傷みが進むほど、建物としての評価が下がったり、売却時に不利になったりすることがあります。
  • 防犯・衛生上の問題……湿気やカビ、害獣の住みつき、ごみの不法投棄、放火などのリスクが高まることがあります。

遠方であるほど、これらに気づくのが遅れます。だからこそ、早めに手を打つ価値があるのです。

遠方の実家を管理できないときにやる5つのこと

順番に見ていきましょう。

1. まず現状を確認する
登記簿で名義が誰になっているか、建物がどれくらい傷んでいるか(雨漏り・傾き・庭の状態)、そして近隣との関係を確認します。何かあったときに連絡をもらえるよう、近所のかたや自治会と、連絡先を共有しておけると安心です。あわせて、建物や庭の状態を写真に撮っておくと、業者への相談や査定のときに役立ちます。遠方ですぐに行けない場合は、まず地図サービスの航空写真やストリートビューで外観だけでも確認しておくと、最初の一歩を踏み出しやすくなります。

2. 最低限の管理を確保する
空き家は、人の出入りがないだけで急速に傷みます。目安として、月1回程度の換気・通水・郵便物の整理・庭木の確認が望ましいとされることがありますが、必要な頻度は建物の状態や地域、季節によって変わります。とくに通水は、排水管の封水が切れて悪臭や虫の侵入を招くのを防ぐ、意外と大切な作業です。自分で通えない場合は、巡回・換気・写真報告などを代わりに行ってくれる空き家管理の代行サービスという手があります。遠方で頻度を確保できないかたほど、検討する価値があります。

3. 「誰が決められる状態か」を確認する
意外と見落とされがちなのが、そもそも誰が売却や管理を判断できる状態なのか、という点です。親が亡くなっている場合は、相続登記が済んでいるかを確認します。相続登記は2024年4月から義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります(詳しくは相続登記しないとどうなる?放置5つのリスク)。名義が亡くなった親のままだと、売却を進める際には通常、相続関係の整理や相続登記が必要になります。賃貸を考える場合も、権利関係が整理されていないと契約や管理でつまずくことがあります。一方、親が存命で施設に入っているケースでは、本人の判断能力や委任の状態によって、できることが変わってきます。いずれも個別性が高いので、早い段階で司法書士などの専門家に状況を伝えておくと安心です。

4. 管理にかかる費用と、今のおおよその価値を把握する
管理を続けるにも、固定資産税、火災保険、交通費、代行費などがかかります。「とりあえず持っておく」が実は毎年いくらの負担になっているのか、一度数字にしておくと、この先の判断がしやすくなります。あわせて、売る・貸す・解体するどの出口を選ぶにしても、今の土地と建物の価値が分からなければ判断できません。複数の不動産会社にまとめて依頼できる一括査定を使うと、各社の見方を比べられ、おおよその価格感をつかむ判断材料になります。国土交通省の不動産情報ライブラリで周辺の取引価格を確認しておくのも参考になります。「毎年の負担」と「今の価値」、この2つの数字が、次の一歩を決める土台になります。

5. 出口を決める
ここまでを整理すると、最後に残るのは「このまま管理を続けるか、手放すか」という判断です。自分で管理する・管理代行に任せる・売却する・解体する。それぞれに向き・不向きがあります。次の章で、4つの選択肢を比べてみましょう。

遠方で「何から手をつければいいか分からない」ときは、空き家の片付け・管理・売却・解体など、状況に応じた相談ができる窓口もあります。使える選択肢を整理する助けになります。

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管理を続けるか、手放すか——4つの選択肢を比べる

「どうするのが正解か」は、家の状態よりも、自分や家族がその家を使う予定があるかどうかで大きく変わります。予定があるなら、それまでていねいに管理する。予定がないなら、管理は「出口までの一時的な手段」と割り切るのが現実的です。手をつけないまま管理だけが続くほど、傷みと負担が重なって、かえって動きにくくなりがちです。

4つの選択肢を、費用・手間・心理的な負担・向いている人の4つの軸で並べると、自分の状況に近いものが見えてきます。

選択肢費用手間心理的な負担向いている人
自分で管理する交通費・税・保険大(定期的に通う)大(後ろめたさが続きやすい)近く、または将来住む・使う予定がある
管理代行に任せる月額の代行費+税・保険中(負担は減るが出口は未定のまま)当面は手放さないが、自分では通えない
売却する仲介手数料・測量費・片付け費用・税金がかかる場合あり中(査定・片付け・契約)売却できれば管理負担は減る使う予定がなく、現金化して区切りたい
解体して更地にする解体費+住宅用地特例が外れることによる税負担増の可能性小〜中建物が危険、または更地で売る・活用する前提

ポイントは、解体を急がないことです。更地にすると土地の固定資産税が上がることがあり、古い家でもそのまま「古家付き土地」として売れる場合があります。解体ありきで進める前に、まず売れないかを確かめるのが安全です。手放し方の詳細は、実家が売れない3つの理由と今すぐできる対策空き家の解体費用はいくら?補助金と3つの注意点相続した土地がいらない時の3つの手放し方もあわせて参考にしてください。

進める前に気をつけたい注意点

  • 相続人が複数なら方針を共有する……実家全体を売却する場合は、原則として共有者全員の同意が必要です。「誰も決めないまま時間だけ過ぎる」が一番こじれます。早めに話し合っておくと、あとがスムーズです。
  • 管理代行は内容と費用を比べる……サービス内容や料金は業者によって差があります。巡回の頻度、換気・通水の有無、草刈りや清掃が含まれるか、写真報告があるか。何をどの頻度でやってくれるのかを、必ず確認してから契約しましょう。
  • 片付け・残置物を後回しにしない……遺品や家財が残ったままだと、売却や解体の見積もりが進めにくくなります。出口を決めたら、片付けも並行して段取りしておくと、ずるずると負担だけが残るのを防げます。

なお、税金・法律・登記の具体的な判断は、税理士・司法書士・弁護士など専門家に確認してください。本記事は一般的な情報の整理です。制度や補助の有無は自治体によって異なります。

よくある質問

Q1. 空き家の管理代行は、どれくらいの費用がかかりますか?

費用は地域・サービス内容・巡回頻度によって変わります。月1回程度の巡回・換気・写真報告といった基本的な内容なら比較的低額なプランもありますが、草刈りや建物内部の清掃などを加えると、その分費用は上がります。複数の業者を比べ、必要な内容にしぼって選ぶのがおすすめです。

Q2. 親が施設に入っていて実家が空き家です。親の名義のまま売れますか?

親が存命の場合、原則として売却の判断は名義人である親本人が行います。判断能力や委任の状態によってできることが変わり、状況によっては成年後見など別の手続きが関わることもあります。個別性が高いので、まず司法書士や弁護士、地域包括支援センターなどに状況を伝えて確認するのが安全です。亡くなった親の名義のままの場合は、先に相続登記を済ませる必要があります。

Q3. 遠方にあって状態も古い実家ですが、売れるのでしょうか?

立地や状態によっては時間がかかることもありますが、古い家でも「古家付き土地」として売れたり、買取業者が引き取ってくれたりすることがあります。残置物の整理が済んでいなくても相談できる窓口もあります。まずは一括査定などで、価格がつくかどうかを確かめてみることをおすすめします。


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