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親が亡くなり、相続の手続きを進めていたら「準確定申告が必要です」と言われて戸惑った——。「相続税なら聞いたことがあるけれど、準確定申告って何?」「うちの親も必要なの?」「4か月以内って、いつから数えるの?」。葬儀の直後から次々に手続きが押し寄せる中で、税務まで初めて担うことになり、不安になる方は少なくありません。
まず整理します。準確定申告とは、亡くなった親(被相続人)本人の、その年1月1日から亡くなった日までの所得税(および復興特別所得税)を、相続人が代わりに申告・納税する手続きです。相続した不動産を売ったときに相続人自身が行う確定申告(→相続した不動産を売却した後の確定申告3手順)とは別のものです。私は土地の取引や所有者の方とのやり取りに関わってきました。税の専門家ではありませんが、国税庁の情報をもとに整理すると、大事なのは、親が亡くなったら全員が準確定申告をするわけではないという点です。まず必要か・不要かを判定し、必要なら「知った日の翌日から4か月以内」に進める。この記事では、その3つの手順を整理します。
手順1:まず「必要か・不要か」を判定する
準確定申告は、亡くなった親本人に確定申告の義務がある場合に行うものです。まず、次のような親は必要になる可能性が高いので要確認です。
- 個人事業や賃貸不動産の収入があり、生前も確定申告していた
- 公的年金等の収入が年400万円を超えている(確定申告不要制度を使えない)
- 給与収入が年2,000万円を超えていた
- 2か所以上から給与を受けていた(申告が必要か要確認)
- 亡くなった年に土地・建物などを売却していた(譲渡所得)
一方、次のような場合は不要になることもあります。
- 公的年金等の収入が400万円以下で、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となっており、かつ年金以外の所得が20万円以下(いわゆる確定申告不要制度に該当)
- 給与が1社だけで、勤務先の年末調整で完結している
ここで大事なのは、「収入があった=必ず申告」ではないことです。たとえば亡くなった年に不動産や株を売っていても、特例や特定口座(源泉徴収あり)の扱いによって申告の要否が変わります。あくまで通常の確定申告のルールに当てはめて判定するので、迷う場合は税理士に確認しましょう。
なお、申告の義務がなくても、源泉徴収された税金が納めすぎになっている場合や医療費控除がある場合などは、申告すれば還付を受けられることがあります。「不要=何もしない方が得」とは限りません。
親に事業・不動産・譲渡などの所得があり、準確定申告が必要か・書き方に迷う——。
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手順2:期限は「知った日の翌日から4か月」で進める
準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。「死亡日から4か月」と思われがちですが、正確には”知った日の翌日”から数えます(通常は同じ日に知るので近くなりますが、起算点が違います)。よく比較される相続税の申告期限(知った日の翌日から10か月)より短く、準確定申告のほうが先に来る点に注意です(実家の相続税の目安は実家を相続したら相続税はかかる?3つの目安もご覧ください)。
注意したいのが、遺産分割が終わっていなくても、この4か月の期限は待ってくれないことです。誰が何を相続するか決まる前でも、準確定申告は進める必要があります。
また、親が前年分の確定申告をしないまま、年明け(1月1日)から通常の申告期限までの間に亡くなった場合は、前年分と亡くなった年分の両方が、知った日の翌日から4か月以内の申告対象になります。毎年確定申告していた親が2〜3月に亡くなったようなケースでは、前年分を見落とさないようにしましょう。
手順3:相続人が複数のときと、提出のしかた
相続人が複数いる場合は、原則として相続人全員が連署して1通の準確定申告書を提出します。各相続人が別々に提出することもできますが、その場合は他の相続人へ申告内容を通知する必要があります。いずれも「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」を添付します。
ここで間違えやすいのが、付表に書く「相続分」です。これは原則として、法定相続分または遺言による指定相続分を記載するもので、親の納税額・還付額をこの相続分に応じて各相続人へ割り振ります。遺産分割協議で実際に「兄が多く取る」などと決める割合とは、必ずしも同じではありません(ここはよく混乱します)。なお、他の相続人ぶんの還付金を代表者がまとめて受け取る場合は、付表とは別に委任状が必要です。
提出方法にも注意点があります。準確定申告は、国税庁の通常の「確定申告書等作成コーナー」では作成できません。e-Taxで出す場合はe-Taxソフト等を使うか、書面で提出します(相続人が2人以上でe-Taxで提出する場合は、各相続人が内容を確認・署名した「準確定申告の確認書」も必要です)。
準備の際は、「提出する書類」と「手元にそろえる資料」を分けて考えるとスムーズです。提出する主なものは確定申告書と付表、所得に応じた明細(事業・不動産の決算書や収支内訳書、譲渡の計算明細など)。一方、給与や年金の源泉徴収票は、原則として申告書への添付は不要ですが、金額を入力するための手元資料として必要です。
控除にも、準確定申告ならではのルールがあります。医療費控除は死亡日までに親本人が支払った分が対象で、死亡後に相続人が支払った分は含められません。社会保険料や生命保険料控除なども死亡日までに支払った分が対象です。配偶者控除・扶養控除などは死亡日の現況で判定し、月割りはしません。制度の要否や書き方は個別の事情で変わります。税金・法律の具体的な判断は、税理士・司法書士など専門家に確認してください(準確定申告や所得の判定は税理士、相続登記など権利の手続きは司法書士が相談先になります)。
まとめ
準確定申告は、①まず必要か・不要かを判定する(親が亡くなったら全員がやるわけではない)②必要なら「知った日の翌日から4か月以内」に進める(相続税の10か月より先に来る・遺産分割が未確定でも待たない)③相続人が複数なら付表を付けて連署(付表の相続分は法定相続分等で、実際の取得割合とは限らない)——の3手順で整理できます。提出は通常の作成コーナーでは作れず、e-Taxソフトか書面です。
今日できる最初の一歩は、親に事業・不動産・年金・給与・譲渡などの所得があったかを確認し、源泉徴収票や決算書など判断材料を集めることです。そのうえで、必要か・書き方に迷う部分は、4か月の期限に余裕をもって税理士に相談すると安全です。
よくある質問
親が年金だけでしたが、準確定申告は必要ですか?
必ずしも必要ではありません。公的年金等の収入が年400万円以下で、その全部が源泉徴収の対象となっており、かつ年金以外の所得が20万円以下なら、いわゆる確定申告不要制度に当てはまり、原則として準確定申告は不要になることがあります。ただし、年金が400万円を超える場合や、医療費控除などで還付を受けられる場合は、申告が必要・または申告した方が得なこともあります。判断に迷う場合は税理士に確認しましょう。
準確定申告の期限はいつまでですか?
相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です(「死亡日から4か月」ではありません)。相続税の申告期限(知った日の翌日から10か月)より短く、先に来ます。遺産分割が終わっていなくても、この期限は待ってくれません。
相続人が複数います。どうやって申告しますか?
原則として相続人全員が連署して1通の準確定申告書を提出し、「確定申告書付表」を添付します。事情があれば各相続人が別々に提出することもできますが、その場合は他の相続人へ申告内容を通知します。付表に書く「相続分」は法定相続分または遺言による指定相続分で、遺産分割で実際に取得する割合とは必ずしも同じではありません。書き方に迷う場合は税理士に相談しましょう。
参考にした公式情報
- 国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
- 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
- 国税庁 所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について
- 国税庁 No.2665 年末調整の対象となる人
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税(申告期限=知った日の翌日から10か月)
※制度の要件や金額の基準は改正や個別の事情により変わることがあります。最新の情報は上記の公式情報や、税理士など専門家にご確認ください。

