相続した不動産の名義変更を自分でやる5手順

相続した土地

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親が亡くなって実家や土地を引き継いだけれど、名義はまだ親のまま。「司法書士に頼むほどでもない気がするけれど、自分でできるのか、失敗したら怖い」「義務化されたと聞いて、今さらだけど動いた方がいいのか」——そんな迷いを抱えていないでしょうか。

相続した不動産の名義変更は、正式には「相続登記」といいます。亡くなった方の名義を、引き継ぐ相続人の名義に書き換える手続きのことです。結論から言うと、相続人本人が自分で申請することはできます。ただ、すべての人が自分でやるべきかというと、そうではありません。

土地の取引に関わる仕事をする中で感じたのは、名義を後回しにすると、いざ売却や担保設定を進めようとしたときに、先に相続登記が必要になって手続きが止まることがある、ということです。賃貸を考える場合も、権利関係が整理されていないと契約や管理でつまずくことがあります。この記事では、まず「自分でできる人」と「専門家に頼んだ方がいい人」を分けたうえで、自分でやる場合の5手順と費用の考え方を整理します。専門家ではないので、具体的な判断は専門家に確認する前提で読んでください。

まず「自分でできる人」と「専門家に頼む人」を分ける

相続登記は、状況によって難易度がまったく違います。先に、自分の状況がどちらに近いかを見ておきましょう。

自分で進めやすいケース

  • 相続人が少なく、誰が引き継ぐかの話し合いがまとまっている
  • 亡くなった方の本籍の移動が少なく、戸籍をたどりやすい
  • 対象の不動産が1〜2件で、同じ市区町村にある
  • 平日の日中に、役所や法務局に動ける時間がある

専門家(司法書士)に頼んだ方が安全なケース

  • 何代も名義が変わっていない(祖父名義のまま、など=数次相続)
  • 相続人が多い、または疎遠で連絡が取りにくい人がいる
  • 亡くなった方が転居・本籍の移動を繰り返していて、戸籍集めが複雑
  • 不動産が複数の地域(別々の法務局の管轄)にまたがっている
  • 遺言の有効性や、遺産の分け方でもめている
  • 平日に動く時間がどうしても取れない

大事なのは、「全部自分でやる」か「全部頼む」かの二択ではないということです。たとえば戸籍集めだけ自分でやって、複雑な部分だけ専門家に相談する、という部分的な頼み方もできます。難しいところだけ相談できる場合もあるため、最初から丸ごと依頼する場合と比べて、負担を調整できることがあります。

相続登記は2024年4月から義務化された

「昔は後回しでいいと言われた」という方も多いのですが、ルールは変わりました。押さえておきたいのは次の点です。

  • 2024年4月1日から義務化……相続登記は法律上の義務になりました。
  • 期限は「取得を知った日から3年以内」……「親が亡くなった日から3年」ではなく、「自分が相続で不動産を取得したと知った日から3年以内」が起点です。
  • 怠ると10万円以下の過料……正当な理由なく期限内に申請しないと、10万円以下の過料の対象になることがあります。刑事罰の「罰金」ではなく、行政上のペナルティです。登記官が義務違反を把握した場合には、まず申請を促す催告が行われ、その後も正当な理由なく申請されない場合に、過料の対象になる可能性があります。
  • 過去の相続も対象……2024年4月より前に相続した不動産も対象で、すでに相続を知っていた場合は2027年3月31日までの猶予があります。
  • 遺産分割がまとまったら別途……話し合いで誰が取得するか決まった場合は、その成立日から3年以内に、内容に沿った登記も必要です。

放置するとどうなるかは、相続登記しないとどうなる?放置5つのリスクで詳しく整理しています。

自分でやる相続登記の5手順

ここからは、遺産分割協議で誰かが引き継ぐ場合を例に、自分で進める流れを見ていきます。

手順1. 名義の現状と相続人を確認する
まず、その不動産が今は誰の名義かを、登記事項証明書(登記簿の写し)で確認します。法務局の窓口やオンラインで取得できます。あわせて、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をたどり、相続人が誰なのかを確定します。

手順2. 遺産分割協議で「誰が引き継ぐか」を決める
相続人全員で話し合い、その不動産を誰が取得するかを決めて、遺産分割協議書にまとめます。相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添えます。遺言がある場合は、その内容に従うため、必要書類が変わります。

手順3. 必要書類を集める
遺産分割協議による場合の代表的な書類は、次のとおりです。

  • 亡くなった方……出生から死亡までの戸籍一式、住民票の除票
  • 相続人……相続人全員の戸籍、遺産分割協議書に実印を押した相続人全員の印鑑証明書、不動産を取得する人の住民票
  • 不動産……その年度の固定資産評価証明書
  • そのほか……遺産分割協議書、登記申請書

必要書類はケースによって変わります(遺言がある場合、法定相続分どおりに登記する場合など)。なお、銀行口座や複数の不動産など手続きがいくつもある場合は、戸籍の束の代わりに使える「法定相続情報一覧図」を作っておくと、同じ戸籍一式を何度も出さずに済みます。必須ではありませんが、手続きが多い人ほど便利です。

手順4. 登記申請書を作り、登録免許税を計算する
申請書の様式と記載例は、法務局のホームページで公開されています。登録免許税は、相続税とは別に、登記の申請時に納める税金です。相続登記の場合、原則として固定資産税評価額の0.4%(1000分の4)で、土地と建物それぞれにかかります。土地については、評価額など一定の条件を満たすと免税措置が使える場合があるので、最新の条件は法務局で確認してください。

手順5. 法務局に申請する
申請先は、自分の住所地ではなく、その不動産の所在地を管轄する法務局です。窓口・郵送・オンラインで申請できます。書類に不安があれば、法務局の「登記手続案内」(1回20分以内・予約制)で、手続きの進め方や一般的な疑問を確認できます。ただし、個別の法的判断や書類作成の代行ではないため、複雑な場合は司法書士などに相談しましょう。

戸籍集めや相続手続きの全体整理は、慣れないと手間も時間もかかります。
登記申請書の作成や申請の代理が必要なときは、司法書士など対応できる専門家か確認しましょう。相続人が多い・遠方で動けない・古い名義のままというときほど、早めに相談しておくと安心です。

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費用は「登録免許税」と「専門家報酬」を分けて考える

「司法書士の見積もりが高い気がする」と感じる方は少なくありません。これは、費用の中身が混ざって見えるからです。分けて考えると、納得しやすくなります。

  • 登録免許税……これは国に納める税金で、誰が手続きをしても金額は同じです(評価額の0.4%)。自分でやっても、専門家に頼んでも、ここはかかります。
  • 実費……戸籍・住民票・評価証明書の取得手数料や、郵送費など。これも誰がやってもかかります。
  • 専門家報酬……司法書士に頼んだ場合に、上の2つに上乗せされる分です。自分で最後まで申請すれば、司法書士へ依頼する報酬は抑えられます。

つまり、自分でやって浮くのは「専門家報酬」の部分です。見積もりを見て高いと感じたら、税金(誰がやっても同じ)と報酬(専門家に払う分)を分けて見てみてください。そのうえで、難しい部分だけ頼む、という選び方もできます。

自分でやるときの注意点

  • 数次相続を見落とさない……祖父名義のまま父が亡くなった、というように名義が何代も前で止まっていると、相続人が一気に増え、手続きが急に複雑になります。心当たりがあれば、早めに専門家へ。
  • 家族や知人に「代わりにやってもらう」のは慎重に……家族に手伝ってもらう場合でも、誰が申請人になるのか、書類の内容を誰が確認するのかを曖昧にしないことが大切です。報酬を得て登記申請の代理や申請書の作成を行うことは、司法書士・弁護士などの資格者の業務範囲に関わります。
  • 売却を考えているなら、後回しにしない……名義が亡くなった方のままでは、売却に進めません。「いざ売ろう」のときに名義変更からやり直すと、買い手を待たせることになります。賃貸を考える場合も、契約や管理の前に権利関係を整理しておくと安心です。手放すことを考えているなら、実家が売れない3つの理由と今すぐできる対策もあわせてご覧ください。なお、引っ越しなどで所有者の住所が変わっている場合の住所変更登記は、相続登記とは別の手続きです。

なお、税金・法律・登記の具体的な判断は、税理士・司法書士・弁護士など専門家に確認してください。本記事は一般的な情報の整理です。制度や免税の条件は、時期や個別の事情によって異なります。

よくある質問

Q1. 相続登記を自分でやると、どれくらい大変ですか?

相続人が少なく、戸籍がたどりやすいケースなら、自分でやり切る方も少なくありません。大変になりやすいのは、戸籍集めと、遺産分割協議書・登記申請書の作成です。亡くなった方が何度も本籍を移していたり、相続人が多かったりすると、一気に複雑になります。不安な場合は、法務局の登記手続案内(予約制・1回20分以内)で、作成した書類を確認してもらいながら進めると安心です。

Q2. 司法書士に頼むと費用はどれくらいかかりますか?

報酬は事務所や手続きの難易度によって幅があるため、一概には言えません。注意したいのは、登録免許税(評価額の0.4%)や戸籍などの実費は、専門家に頼んでも別途かかるという点です。見積もりを見るときは、税金・実費と、専門家報酬を分けて確認すると、納得して判断しやすくなります。正確な金額は、依頼先の専門家に確認してください。

Q3. 親名義のまま何年も経った古い実家でも、今から自分で名義変更できますか?

はい、できます。ただし、長く放置していると、その間に別の相続人が亡くなって相続人が増える「数次相続」になっていることがあり、手続きが複雑になりがちです。義務化により過去の相続も対象で、すでに相続を知っていた場合は2027年3月31日までの猶予があります。早めに着手し、相続人が多い・関係が複雑といった場合は、無理せず司法書士に相談してください。


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