※本記事はアフィリエイト広告を含みます
親が亡くなって、田んぼや畑を引き継ぐことになった。でも自分は農業をしていないし、遠くに住んでいて通うこともできない。「農地を相続したら、農業委員会に届け出ないといけないと聞いたけれど、本当?」「届け出なくても相続はできているのでは?出さないと何がまずいの?」——そんな疑問を抱えていないでしょうか。
先に結論から言うと、農地の相続は、普通の宅地とは手続きが違います。 名義を変える相続登記だけでは終わらず、農地ならではの届出が必要です。しかも、耕作しない農地を売ったり貸したりするにも、宅地とは違うルール(農地法)の壁があります。この記事では、土地に関わってきた立場から、農地を相続したらまず行う3つの手続きと、自分で耕作しない場合の出口を整理します。専門家ではないので、個別の判断は専門家に確認する前提で読んでください。
農地の相続は「普通の土地」と違う
まず押さえておきたいのは、農地は法律上、宅地のように自由に扱えない土地だということです。「農地法」という法律で、農地を売る・貸す・別の用途に変えることに制限がかかっています。
ただし、相続で農地を引き継ぐこと自体には、農業委員会の「許可」は要りません。 売買や贈与では許可が必要ですが、相続は許可なく引き継げます。その代わりに、「農地を相続しました」という届出が必要になります。ここが、宅地の相続にはない、農地特有のポイントです。
「許可はいらないが、届出は必要」——この違いを知らずに、相続登記だけで終わったつもりになっている方は少なくありません。
相続したらまず行う3つの手続き
農地を相続したら、まず次の3つを押さえます。
手続き1. 相続登記(名義変更)をする
農地も、他の不動産と同じく、亡くなった方の名義を引き継ぐ人の名義に変える相続登記が必要です。2024年4月から相続登記は義務化され、取得を知った日から3年以内に申請しないと、10万円以下の過料の対象になることがあります。手続きの流れは相続した不動産の名義変更を自分でやる5手順で整理しています。
手続き2. 農業委員会へ届出をする
これが農地特有の手続きです。農地を相続したら、その農地がある市町村の農業委員会へ届出をします。期限はおおむね10か月以内と案内されていますが、起算点や必要書類は市町村によって扱いが異なることがあるため、その農地がある市町村の農業委員会で確認してください。この届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりすると、10万円以下の過料の対象になることがあります。 相続登記とは別の手続きなので、両方を忘れないようにします。
手続き3. 相続税の有無を確認し、必要なら申告・納税する
農地も相続財産なので、遺産全体の額によっては相続税がかかることがあります。かからない場合は申告自体が不要なこともありますが、かかる場合の申告・納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。農地の評価は宅地とは異なり、農業を続ける場合や一定の貸付けを行う場合には、相続税の納税猶予を受けられることがあります。ただし要件が細かく、その後の継続手続きも関係するため、税理士や農業委員会に確認してください。相続税がかかりそうかの目安は、実家を相続したら相続税はかかる?3つの目安も参考になります。
農地の相続は、相続登記と農業委員会への届出が別々に必要で、期限もあります。
戸籍集めや書類作成に手が回らない、遠方で動けないというときは、相続手続きに対応できる専門家か確認しましょう。
相続登記・農地法の届出・相続税申告は対応できる専門家や窓口が異なるため、依頼前に対応範囲を確認しておくと安心です。
PR・相続手続き代行 nocos(NCPグループ)
自分で耕作しない農地の出口4つ
3つの手続きを終えても、「では、この農地をどうするか」という問題が残ります。自分で耕作しない場合の主な選択肢は、次の4つです。
- 貸す……近くの農家や、農地の貸し借りを仲介する「農地バンク(農地中間管理機構)」を通じて貸す方法があります。借り手が見つかれば、荒廃を防ぎながら地域の担い手に活用してもらえる可能性があります。
- 売る……農地として売る場合は、原則として農業委員会の許可など法律上の手続きが必要です。買い手にも要件があるため、宅地より相手が限られやすいと考えておきましょう。
- 転用して活用・売る……農地を宅地や駐車場など別の用途にすることを「転用」といいます。ただし転用には、区域によって都道府県知事等の許可や届出が必要で、場所によっては認められないこともあります。
- 手放す……買い手も借り手も見つからない場合、一定の要件を満たせば国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」を検討する余地もあります。ただしこの制度は、建物や管理を妨げるものがある土地、境界が不明な土地、権利関係に問題がある土地などは使えないことがあります。申請には審査手数料がかかり、承認後には負担金も必要です。農地の場合は、耕作物や農地バンクの権利、土地改良区の賦課金などが問題になることもあり、使えるケースは限られます。
いずれも宅地より制約が多いのが農地です。まずは「貸せるのか、売れるのか」を、農業委員会や農地バンクに相談してみるのが現実的です。使わない土地全般の手放し方は、相続した土地がいらない時の3つの手放し方や田舎の土地を処分する4つの方法と費用の目安も参考になります。
農地の相続で気をつけたいこと
- 届出を忘れない……相続登記を済ませても、農業委員会への届出は別です。片方だけで終わったつもりにならないよう気をつけます。
- 「売る・貸す・転用」は許可のハードルがある……相続で引き継ぐのは許可不要ですが、その後に売ったり用途を変えたりするには、農業委員会や知事等の許可が必要になる場面があります。思い通りに処分できないこともあると知っておきましょう。
- 放置すると管理の負担が続く……農地は、荒らすと雑草・害虫で近隣に迷惑がかかったり、固定資産税のほか、地域によっては土地改良区の賦課金などが続いたりします。使う予定がないなら、早めに貸す・売るなどの方針を考えるほうが負担は軽くなります。
なお、税金は税理士、登記は司法書士、農地法の届出・許可は農業委員会や行政書士、相続人間で争いがあるなら弁護士など、内容に応じて専門家・窓口に確認してください。本記事は一般的な情報の整理であり、制度や手続きの取り扱いは市町村や個別の事情によって異なります。
まず今日できること
農地を相続したら、まずやることはシンプルです。1つは、その農地がどこにあるか(所在地の市町村)を確認すること。届出も相談も、その市町村の農業委員会が窓口になります。もう1つは、相続登記と農業委員会への届出、両方が必要だと覚えておくこと。この2点を押さえておけば、あわてずに動けます。
農地は制約が多い分、放置すると負担だけが残りがちです。使う予定がなくても、まずは手続きを済ませ、その後の出口を早めに相談しておきましょう。
よくある質問
Q1. 農地を相続したら、農業委員会の許可が必要ですか?
相続で農地を引き継ぐこと自体には、農業委員会の許可は必要ありません。売買や贈与では許可が必要ですが、相続は許可なく引き継げます。ただし、その代わりに農業委員会への「届出」が必要です。許可は不要でも届出は必要、という点に注意してください。
Q2. 農業委員会への届出をしないと、どうなりますか?
届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりすると、10万円以下の過料の対象になることがあります。また、届出をしておかないと、農地バンクへの貸し出しや各種の相談がスムーズに進まないこともあります。期限はおおむね10か月以内と案内されていますが、起算点は市町村の農業委員会で確認し、早めに手続きしましょう。
Q3. 農業をしない農地は、宅地にして売れますか?
農地を宅地などに変える「転用」には、原則として都道府県知事等の許可が必要です。場所や区域によっては転用が認められないこともあります。まずは、その農地が転用できる場所かどうかを、農業委員会に確認するのが第一歩です。転用できない場合は、農地として貸す・売る、国庫帰属を検討するなどの選択肢を考えます。
参考にした公式情報

