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「実家の土地、いずれ誰が継ぐんだろう」「今は親も元気だし、兄弟の仲も悪くない。でも、いざ相続になったとき、配偶者や子どもの世代まで絡んで、もめないだろうか」——親が元気なうちだからこそ、こういう不安がふと頭をよぎる方は多いのではないでしょうか。一方で、「親にお金や死後の話を切り出すのは気が引ける」と、先延ばしにしてしまいがちなテーマでもあります。
先にお伝えしたいのは、土地のことは、親が元気なうちに決めておくほど、選べる手が多いということです。 親の判断能力が下がってからでは、できることが一気に狭まります。この記事では、土地に関わってきた立場から、親の土地について生前に決めておきたい3つのことを、兄弟でもめないための視点で整理します。税金や法律の具体的な判断は専門家に確認する前提で、まずは「何を話し合っておけばいいか」の地図として読んでください。
なぜ「生前」に決めておくのか
「相続が起きてから、みんなで決めればいい」と考えがちですが、それには落とし穴があります。
一つは、親の判断能力の問題です。認知症などで親の判断能力が下がると、親名義の土地を売ったり貸したりすることが、とても難しくなります。たとえば、施設費用のために実家の売却を考えても、名義人である親が契約できる状態でないと、手続きが進みにくくなることがあります。
もう一つは、相続人が増えて話がこじれることです。時間がたつほど、当初の相続人が亡くなって次の世代が加わり、関係者が増えて意見をまとめにくくなります。親が元気で、家族が少ないうちのほうが、話し合いはずっとシンプルです。
だからこそ、「まだ早い」と思う今こそが、決めどきなのです。
親の土地で生前に決める3つのこと
決めることを、大きく3つに絞ります。
1つ目. 誰が引き継ぐか
実家の土地を、最終的に誰が引き継ぐのか。長男が住み続けるのか、売って分けるのか。ここが曖昧なままだと、いちばんもめます。親の意思をはっきりさせておく方法として、遺言があります。誰に何を引き継がせたいかを書き残しておくと、相続時の話し合いの土台になります。ただし、遺言の内容や書き方によっては、遺留分や有効性が問題になることもあるため、作成前に専門家へ確認しておくと安心です。自筆の遺言を法務局で預かってもらう制度もあり、紛失や改ざんのリスクを減らせます。ただし、内容の妥当性や税務上の影響まで保証されるわけではありません。
2つ目. その土地をどうするか(出口)
引き継ぐ人が決まっても、「その土地をどうするか」が別に残ります。住むのか、貸すのか、売るのか、残すのか。誰も住まない・使わない土地なら、早めに「売る・貸す」の方向を家族で共有しておくと、相続後にあわてずに済みます。売却を視野に入れるなら、相続した家を売るときの税金3つと節税の特例のような税金の話も、早めに知っておくと役立ちます。
3つ目. 親が判断できなくなったときの備え
これがいちばん見落とされがちです。親が元気なうちに、「もし判断が難しくなったら、土地の管理や売却を誰に任せるか」を決めておきます。選択肢としては、家族に財産管理を託す「家族信託」や、あらかじめ後見人を決めておく「任意後見」などがあります。いずれも、親の判断能力があるうちにしか設計できません。判断能力が下がった後では、家族信託や任意後見を新しく設計することが難しくなり、法定後見制度などを検討することになります。成年後見人等が本人の居住用の不動産を売る場合は、家庭裁判所の許可が必要になるなど、手続きが重くなることがあります。
生前贈与か相続か、どちらが有利かは、土地の評価・家族構成・特例で変わります。
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「生前贈与か相続か」は税金だけで決めない
親の土地を早めに引き継ぐ方法として、「生前贈与」を考える方もいます。生きているうちに名義を子に移す方法です。ただ、これは「どちらが得か」を税金だけで判断すると、思わぬ落とし穴があります。
- 税金面……生前贈与には贈与税が関係し、登録免許税や不動産取得税も、相続の場合と扱いが変わることがあります。暦年課税・相続時精算課税など制度の選び方でも結果が変わるため、事前の試算が必要です。一方、相続なら、要件を満たす場合に限り「小規模宅地等の特例」で土地の評価を下げられることもあります。どちらが有利かは、ケースによって本当に変わります。
- 兄弟間の公平感……特定の子だけが土地をもらうと、他の兄弟が「不公平だ」と感じ、相続時のトラブルの火種になることがあります。誰にどう渡すかは、税金だけでなく、家族の納得感も含めて考える必要があります。
税金の有利・不利は個別性が高く、専門家でも試算してみないと分かりません。生前贈与を考えるなら、動く前に一度、税理士に相談するのが安全です。相続税がかかりそうかの目安は、実家を相続したら相続税はかかる?3つの目安も参考になります。
なお、税金・法律の具体的な判断は、税理士・司法書士・弁護士など専門家に確認してください。本記事は一般的な情報の整理であり、制度の適用は個別の事情によって異なります。
まず今日できること
いきなり「土地を誰が継ぐか」と切り出すのは、親も身構えてしまいます。おすすめは、もっと軽い入口から始めることです。たとえば「固定資産税の通知書、どこにしまってる?」「実家の名義って、今どうなってるんだっけ」といった、事実確認の会話からです。そこから「もし何かあったとき、どうしたい?」と、少しずつ広げていけます。
大事なのは、完璧な結論を今日出すことではなく、家族で話す入口を作ることです。親が元気で、話ができるうちに。それが、将来もめないための、いちばんの準備になります。
よくある質問
Q1. 親の土地を生前にもらうと、相続でもらうより得ですか?
一概には言えません。生前贈与には贈与税や登録免許税・不動産取得税がかかることがあり、相続なら小規模宅地等の特例で評価を下げられる可能性もあります。土地の評価額や家族構成、将来の値動きによって、有利・不利は変わります。動く前に税理士に試算してもらうのが安全です。
Q2. 親が認知症になったら、実家を売れなくなるのですか?
親の判断能力が下がると、親名義の不動産の売却は難しくなります。状況によっては、成年後見制度などを検討することになり、居住用不動産の売却では家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。判断能力があるうちなら、家族信託や任意後見といった備えを検討できます。ただし、設計には法律・税務の確認が必要で、誰にでも向く制度ではありません。いずれにせよ、早めの検討が肝心です。
Q3. 兄弟でもめないために、まず何をすればいいですか?
「誰が実家を引き継ぐか」を、親の意思も含めて早めに共有することです。口約束だけだと後で食い違うため、遺言などの形にしておくと安心です。あわせて、特定の子だけが多くもらう場合は、他の兄弟の納得感にも配慮しておくと、トラブルを防ぎやすくなります。相談先は内容で分けるのが安全で、税金は税理士、登記は司法書士、遺言・遺留分・相続人間の争いは弁護士などに確認するとよいでしょう。
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