遺産分割でもめる家族の3つの共通点

相続した土地

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「うちの兄弟は仲がいいから、相続でもめることはない」——。そう思っていたご家族が、いざ親が亡くなって相続が始まると、思わぬところでこじれてしまう。そんな話は、決して珍しくありません。

土地の取引や所有者の方とのやり取りに関わる中で感じたのは、不動産は現金のように簡単に分けられないため、早い段階で方針を整理しておくことが大切だということです。専門家ではありませんが、遺産分割でもめやすいケースの共通点を先に知っておくだけで、防げるもめ事は少なくありません。この記事では、遺産分割でもめやすい家族の3つの共通点と、こじれてしまったときの解決の進め方、そしてもめないために今からできることを、順に整理していきます。

「うちは大丈夫」と思っている家族ほど注意がいる

遺産分割協議(相続人全員で誰が何を引き継ぐか話し合うこと)は、相続人全員の合意がなければ成立しません。一人でも納得しなければ、当事者同士の協議だけでは進めにくくなります。

「仲がいいから大丈夫」と考えているご家族ほど、事前の準備をしないまま相続を迎えがちです。ところが、いざ「誰が実家を継ぐのか」「土地をどう分けるのか」という具体的な話になると、これまで表に出てこなかった気持ちや事情が一気に噴き出すことがあります。仲の良さと、お金や不動産の分け方がまとまるかどうかは、別の問題なのです。

まずは、遺産分割でもめやすいケースに共通する3つの点から見ていきましょう。

遺産分割でもめる家族の3つの共通点

具体的な話に入る前に、ひとつ土台になる準備があります。それは「相続する不動産に、今どれくらいの価値があるか」を知っておくことです。価値が分からないまま「実家は誰が継ぐか」を話し合うと、感情論になりがちです。複数の不動産会社にまとめて依頼できる一括査定なら、無料でおおよその相場感をつかめます。数字という共通の物差しがあるだけで、話し合いはぐっと進めやすくなります。

1つ目は、財産の大半が「分けにくい不動産」であることです。
相続財産が現金や預貯金であれば、相続人どうしで割合を決めて分けやすい財産です。ところが、財産の中心が実家や土地といった不動産だと、そう簡単にはいきません。土地を物理的に切り分けると価値が下がることもあり、「誰が、どの財産を、どう引き継ぐか」で意見が割れやすくなります。現金が少なく不動産が大半、というご家庭ほど、分け方をめぐってもめやすいのです。

2つ目は、生前に話し合いや準備をしていないことです。
親が元気なうちに「実家はどうするか」を話し合っていなかったり、遺言が残されていなかったりすると、相続が始まってから、何のルールもない状態で分け方を決めることになります。判断の拠りどころがないまま、それぞれの希望や事情がぶつかり合えば、話がまとまらないのも無理はありません。準備がないこと自体が、もめる大きな原因になります。

3つ目は、過去の不公平感や感情のしこりが残っていることです。
「自分だけが親の介護をしてきた」「あの兄弟は生前にお金を援助してもらっていた」「実家には長男夫婦がずっと住んでいる」——。こうした過去の事情や不公平感は、相続をきっかけに一気に表面化します。お金や不動産の話は、それまで抱えていた感情と結びつきやすく、いったんこじれると、本筋の分割協議そのものが前に進まなくなってしまいます。

もめてしまったときの解決の進め方

もし話し合いがこじれてしまっても、解決に向かう道筋はあります。

まずは、当事者どうしの話し合い(協議)です。 感情的になりやすい場面ですが、不動産の価値など客観的な数字を共有し、「分ける」ことを前提に冷静に進めるのが基本です。

話し合いでまとまらないときは、家庭裁判所の調停という方法があります。 調停とは、裁判官や調停委員が間に入り、中立の立場で話し合いを仲介してくれる手続きです。当事者だけでは感情が先に立ってしまう場合でも、第三者が入ることで整理が進むことがあります。それでも合意に至らない場合は、審判という形で裁判所が分け方を判断します。

分け方そのものについては、いくつかの方法があります。一人が不動産を引き継ぐ代わりに他の相続人へお金を払う方法(代償分割)や、不動産を売却して、その代金を相続人で分ける方法(換価分割)などです。とくに「分けにくい不動産」が問題の中心にある場合、売って現金にすれば分けやすくなる場合があります。ただし、売却費用や、売却益にかかる税金も関係するため、事前に確認しておくことが大切です。

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なお、相続人どうしの合意がまとまらず共有名義(1つの土地を複数人で持っている状態)のまま放置すると、新たなトラブルの火種になります。共有名義のリスクについては、共有名義の土地で起きる3つのトラブルと解消法もあわせて参考にしてください。

また、もめて分割が長引くことには、もうひとつ見落としやすい注意点があります。2024年4月から相続登記(亡くなった方の土地や家の名義をご自分に変える手続き)が義務化され、原則として相続を知った日から3年以内の手続きが求められるようになりました。誰がどの不動産を引き継ぐかが決まらないと、通常の相続登記は進めにくいことがあります。話し合いが長引きそうなときは、自分が相続人であることを法務局に申し出ておく相続人申告登記という簡易な手続きで、申出をした相続人について申請義務をひとまず果たしておく方法もあります。ただし、これは権利関係を確定する登記ではないため、売却や担保の設定をする場合、また遺産分割で不動産を取得した場合には、別途あらためて相続登記が必要になります。

もめないために今からできること

いちばんの対策は、もめる前に手を打っておくことです。

1つ目は、親が元気なうちに話し合っておくことです。 「実家を継ぐ人はいるのか」「土地をどうしたいのか」を、親も交えて早めに共有しておくと、相続が始まってからの混乱を大きく減らせます。

2つ目は、遺言を残してもらうことです。 有効な遺言があれば、その内容にそって進めやすくなり、協議の負担を減らせる場合があります。ただし、特定の相続人に最低限保障された取り分(遺留分)など、注意すべき点もあるため、作成は専門家に相談しながら進めると安心です。

3つ目は、財産の全体像を把握しておくことです。 どこにどんな財産があるのか、不動産の価値はどれくらいか。これが分かっているだけで、話し合いの土台ができます。

なお、法律や税金の具体的な判断は、弁護士・司法書士・税理士など専門家に確認してください。本記事は一般的な情報の整理であり、個別のケースで結論が変わることがあります。相続した土地そのものを手放したい場合は、相続した土地がいらない時の3つの手放し方も参考になります。

よくある質問

Q1. 兄弟の一人が遺産分割の話し合いに応じてくれません。どうすればよいですか?

遺産分割協議は相続人全員の合意が必要なため、一人でも応じないと前に進みません。当事者だけで難しい場合は、家庭裁判所の調停を利用し、第三者に間に入ってもらう方法があります。それでもまとまらないときは審判という形で裁判所が判断します。まずは不動産の価値など客観的な情報を整理し、感情ではなく事実をもとに話せる土台をつくることが大切です。

Q2. 実家は分けられません。公平に分ける方法はありますか?

分けにくい不動産を公平に分ける方法はいくつかあります。一人が引き継いで他の相続人にお金を払う代償分割や、売却して代金を分ける換価分割などです。とくに、誰も住む予定のない実家であれば、売って現金にしたうえで分けるほうが、不公平感が残りにくいことも多いものです。まずはおおよその売却価格を把握しておくと、話し合いの材料になります。

Q3. もめないために、親が元気なうちにできることはありますか?

「実家や土地をどうするか」を家族で早めに話し合っておくこと、そして有効な遺言を残しておくことが、もっとも効果的な対策です。あわせて、財産の全体像や不動産の価値を把握しておくと、いざというときの話し合いがスムーズになります。準備の進め方に不安があれば、早めに専門家へ相談しておくと安心です。


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